紅葉(モミジ)は、ムクロジ科、カエデ属・カエデ科です。楓は樹高10m~20m・径は1mになる落葉樹。紅葉は樹高10m~15m・径は60cm~70cmが平均アベレージで、これ以上の大径材は稀と言われています。北海道・本州・四国・九州に産しますが、イタヤ系統を含めると中国(満州)・朝鮮半島・アムールと広く分布しています。モミジは山間部、人里近い場所や川辺に多く、昔より植栽されて来ました。それは新緑と秋の紅葉(こうよう)を人が楽しみ鑑賞する為です。
紅葉(モミジ)について
材面はイタヤと共に白~クリーム色が基本ですが、カエデ・モミジ共に赤身は黄赤色です。共に杢は玉杢・チヂミ杢・タクリ杢が現れる材が多いと言われています。材面だけを通してモミジかイタヤの判断は難しいですが、紅葉は限りなく白色に近く、イタヤは雄々しく杢目の出方にハードウッド系の様に迫力や重厚さを感じます。多く扱っているとその違いが分かると言います。
用途
イタヤとモミジは材の大きさが違いますが、材質は同じイタヤ属なので用材はリンクします。昔はスキーの板・農業を中心にしたソリ材に、楽器部材(バイオリン・ギター)の側面板・裏板など、又家具・小物箱物・指物・飾り棚・椅子などにも使われます。
現代的な使い方
材面は60cm巾の材が多いので中巾のテーブルやパソコンデスクなど、イタヤとは違い人の目に比較的やさしい品格が有る杢目が多いとされます。オイル仕上りやウレタン塗装など、オールマイティさがあります。
モミジとイタヤの違い
秋の紅葉(こうよう)の季節、紅葉は鮮やかな赤を主体に紅葉(こうよう)し、イタヤは黄色を中心に紅葉(こうよう)します。
葉の違い
葉が大き目で切れ込みの浅い物は、カエデで葉が5枚程裂が有ります。一般には葉が蛙(カエル)の手足に似ている事からカエデの名が付けられたと言います。葉が小振りで葉の切り込みが深く7~10枚程裂が有る物をモミジと言われます。
日本では全てカエデ属・カエデ科にモミジも含まれますが、オオモミジ・ヤマモミジが日本の代表です。葉の形も含めてカエデ・モミジの園芸栽培種は200種有ると言われています。イロハモミジ等、挙げたら切りがありません。
特殊な杢目
写真②の様な蛇柄模様を持った材もあります。
モミジとイタヤの違いの判断
銘木市場に出材される材のほとんどは、イタヤカエデが占めます。径50cm~60cm内外や板材の中巾材で毛色の違う色彩や杢目立を見かけたら注意して見る事です。原木や板材を何回も見て、実際に買付し養生・加工を繰り返す事で違いが分かってきます。又出品者の荷主さんから、産地や来歴(らいれき)を聞くのも業界人として勉強になります。ただ杢目や価格だけを追求して買付をする方を良く見ますが、どこで伐採されたのか、材にまつわる物語を聞く事は大切です。茶道具・骨董の世界も来歴、箱書きが重要です。
この2本は奥秩父産の板で、来歴もしっかりしています。モミジの方はカエデと違い同じ花コブでも付き方が違います。又カエデの磨き丸太の床柱では樹齢を積んだ材は、皮肌に谷筋の様に深い筋目を刻みます。景色の有る丸太は昔から谷浅(タニアサ)と呼ばれます。