アカシアはマメ科でアカシア属に分類され、世界には約1000種を越える種類が有ると言います。日本では外来種として明治6年頃に庭木・公園木として北米産のハリエンジュ(針槐)が渡来しました。生命力が有り、河川の堤防・防災樹や開拓地に良く植栽され、今日、日本では北海道から本州、四国、九州まで分布しています。日本でもう一方でアカシアと呼ばれる樹木は、明治の終わり大正期に園芸用として輸入されたミモザ銀葉アカシアが有ります。原産はオーストラリアで、その後、イタリア・フランスなどヨーロッパへ移植されたアカシアです。

針槐の地中瘤

写真①:針槐の地中瘤

根の洞に土中の土が入っているので地中瘤と判断できます。

写真②:根の洞に土中の土が入っているので地中瘤と判断できます。

幹瘤は形状が大きくありません。瘤杢も深く入っていません。

写真③:幹瘤は形状が大きくありません。瘤杢も深く入っていません。

アカシア・根瘤バールについて

アカシアには以下の2種類があります。

ハリエンジュ(針槐)

北米産は白系の藤花の様な小房が下向きに垂れます。アメリカ南東部には、ピンク色の花を付ける種もあります。この樹の葉は夜になると閉じます。

ミモザ(アカシア)

オーストラリア原産は、黄色の花を付け、葉に触れるとまるでお辞儀をする様に葉を閉じる性質があります。

アカシア(針槐)の瘤バール

本材は群馬県利根川水系の河川敷に生育していた針槐のバール材です。日本に生育する針槐は、樹高10m~15m、経は30cm~40cm内外、大きな材は経60cmを超えます。幹に出来るコブは、良く見ますが、根コブ地中コブは、めったに出材しないと思います。又、写真の様に桑のコブとも非常に良く似ていて、上質材は見劣りしません。コブ特有の入皮や干れ等も少なく珍しいと言えます。

アカシア・根瘤バール

写真④:形状が面白く看板材にも利用できます。玉杢の様に瘤杢が入っています。

今では和室の襖の引手は「A」本桑材が高価なので、「B」針槐の代用材が多く流通しています。

写真⑤:今では和室の襖の引手は「A」本桑材が高価なので、「B」針槐の代用材が多く流通しています。

古代アカシア材は何に使われたか?

映画”十戒”に出てくるユダヤ人のエジプト出に使われたのは、アーロンの杖(アーモンド材)、ユダヤ教の三種の神器を納めた十戒の石版・アーロンの杖、マナの壺、幕屋(まくや)の契約の箱は神からの啓示としてアカシアの材を用い、その表面には純金で覆い蓋上には向き合った天使を1対の飾られた箱が有名です。又古代エジプトでは、船の側板にアカシア材が多く使われ、17世紀ヨーロッパでは家具の表面材の花模様の寄木が流行したと言われています。

アカシア(針槐)の瘤は価値があるか?

長年木材を扱っている方は、ハリエンジュと聞くと外来種で、切っても根に発芽性が有り、今日、竹や松などの生育林を脅かす危険外来種として指定され、低級な価値と思われていますが、根瘤の大きさから言って、この様な大きな瘤は見た事がありません。

アカシアの蜂蜜?

アカシアの蜂蜜は、スッキリとした後味で有名ですが、そのほとんどは白花のハリエンジュ(ニセアカシア)が主流で、ラベルにニセアカシア蜂蜜とは書けないので、アカシア蜂蜜で流通しているそうです。