ブライヤーは、エリカ属のツツジ科です。別名は(英)ツリーヒース。正式名は、エイジュの木の地中コブです。本来はブライヤーと言う樹種はありません。エリカ・エイジュと言う低灌木の地中コブです。樹高4m~10m前後・径10mc~25cmにも満たないです。産地は主に地中海沿岸国(スペイン・イタリア・ギリシャ)、北アフリカ(モロッコ・アルジェリア・チュニジア・リビア・エジプト)、イランからアジアのインドに至る広大な地域に点々と生育します。

リビア産のブライヤー・バール材

写真①:リビア産のブライヤー・バール材(長さ約60cm・25kg)

ブライヤー・バールについて

産地国の特に砂利・礫層地帯に生えている材の根コブ材です。その為、泥・砂・小石を巻き込みながら生長するので、採取してから根ごと釜で煮沸し、取り出し水洗いを繰り返し、その後納屋で、ゆっくり乾燥させます。

昔から良材部分を手鋸で挽くか、斧で叩き割りをして取材します。産地各国により、白・クリーム色・赤・黒褐色などの色彩が異なります。写真の材はリビア産です。

横巾50cm近く有るリビア産のブライヤー材(27kg)

写真②:横巾50cm近く有るリビア産のブライヤー材(27kg)

写真①は、横巾50cm近く有るリビア産のブライヤー材(27kg)です。ここで割った方が良いと言わんばかりの谷筋が有ります。

用途

1番の用途は、タバコの喫煙具パイプです。ヨーロッパでは、古来より地域にも異なりますが、ブライヤー材を始め、オリーブの根や海泡石(かいほうせき:マグネシウムを含む鉱物)・トウモロコシ(コーンパイプ)・ひょうたんなどの自然素材が使われます。大事なのはタバコの葉を詰めて吸って、残り火がポウル(火皿)に移る時、火持ちと焦げにくいのは、このブライヤー材と言われています。

日本では有名店が2~3軒有りますが、喫煙具のナイトの称号を持つ東京・浅草の柘(つげ)製作所が有名です。

ブライヤー材から製作される喫煙パイプ

写真③:ブライヤー材から製作される喫煙パイプ

ブライヤー材から製作される喫煙パイプ

写真④:ブライヤー材から製作される喫煙パイプ

ブライヤー材の素材の面白い杢目から製作された木軸ペン

写真⑤:ブライヤー材の素材の面白い杢目から製作された木軸ペン

※木軸ペン:大阪・阪南市 工房「智」、武智 健氏 製作