黄肌(きはだ)は、日本ではミカン科の樹木は珍しく、黄肌(きはだ)と山椒(さんしょう)の2つだけです。日本国全土、特に北海道に多く分布しています。他に朝鮮半島・中国北部・アムール・満州・樺太・千島にかけて広く分布しています。樹高10m~25m・径50cm~70cmが平均アベレージで、1mを超す大径材も有ります。別名、(日)黄肌・黄木、(中)黄波羅・黄檗・黄柏、(英)アムールコルクツリーとも呼ばれます。

黄肌(きはだ)

写真①:黄肌材の上品な玉杢目(たまもくめ)

黄肌(きはだ)について

外皮はコルク状、皮肌の下には鮮やかな黄色の内皮が有り、この内皮にはパルマチン・ベルリンと言うアルカロイドの物質が多く含んでいて、古来より漢方薬(胃腸薬)として有名です。日本では薬局で売られる”新ワカ末錠”がお馴染みです。又、飛鳥時代から高貴な人の衣服の染料として用いられて来ました。

黄肌(きはだ)

写真②:産地により色彩の違いがあります。「A」北海道産、「B」本州産

材面

材面はやさしいモスグリーン色の淡黄色と地域により色彩は異なりますが、材面自体やさしい杢目柄から上品なタクリ・玉杢までバラエティーに飛んでいます。材は”桑(くわ)・栗(くり)”にも似るので、色付(アセン・クロム酸等)、染色され、女桑(めぐわ)として流通しています。

用途

古くは家の床ノ間廻り(床柱・床框・落掛・棚板等)に用いられ、茶箪笥、小卓、小家具にも使われました。茶室、数寄屋建築では、皮付丸太として野趣有る材として人気が有ります。

神代の黄肌

写真③:めずらしい神代の黄肌材

代表的な使い方

材は60cm~80cm近い材も有り、銘木市場にもよく出品されています。両取の皮付板は、色彩・杢目柄に魅力が有り、キッチンテーブルや応接間の各テーブルなどは、現代住宅に不思議とマッチします。又、材に古色仕上げや拭き漆塗りも経年変化により、材に深みが一層増し、国産の材とは思えない程、バター臭ささえも感じます。オイル仕上げも良好な材面です。

黄肌(きはだ)

写真④:日本ではミカン科は山椒(サンショウ)と本材だけです。

黄肌の木軸ペン

黄肌の木軸ペン

黄肌のコブ材から製作された木軸ペン

※木軸ペン:長野県・駒ヶ根市 木軸ペン工房 青木 広司氏 製作

黄肌材を使った文箱

黄肌材を使った文箱

黄肌材を使った文箱

黄肌材を使った文箱

黄肌材を使った文箱。外側は全て拭き漆塗り。

東京・江東区 筥幸(はここう)藤田氏作品