ブラジリアン・ローズウッドは、マメ科のつるさいちか属です。学名はダルベルギア・ニグラです。南米ブラジル、東部・南部に産していましたが、約400年近く特にヨーロッパ中心に最高優良材として、伐採利用されて来た為、元々のブラジル沿岸部海河岸近くでは、大径木はほとんど無い状態です(枯渇状態)。現在ブラジル東部(リオデジャネイロ州からエスピリサント州、バイヤ州・ミナスジエライス州など)大西洋側が産地とされています。違法伐採が長きに渡った為、現在慌てて内陸部へ二次林として点々と残る分布地に、植林事業を展開しているのが実情です。
目次
ブラジリアン・ローズウッドについて
樹高20m~30m・径40cm~60cmが現在平均アベレージとされています。かつては径90cm~1m近い材があったと言われています。現在この材のあまりにも名声が先行していて、材の供給はありません。小さな材はかつて本材を使った家具・テーブル材など解体して、日本では再利用している状況です。
ワシントン条約で保護・規制された材
ワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の事です。1973年にアメリカの主催により、ワシントンで81ヶ国参加して、野生動植物に関する種の国際取引を規制する条約が日本も含めて採択されました。
保護する必要の高さ、ランクにより付属書が①②③に分類されています。中でも有名なのが象牙取引・ウミガメ(タイマイ)などです。木材では本材のブラジリアン・ローズウッドも含まれ、現在では次々にローズウッド族も批准されています。この事を受けて日本では、1973年以前に輸入された材がわずかに流通しているに過ぎません。
大きな板巾の材は今はありません。わずかに小さな材の流通に過ぎません。これたの材も大径材から得られた物では無く、二次林材と言われています。
ブラジリアンローズの用途
かつては高級家具・キャビネット・テーブル・建築内装材、中には車両や船舶の装飾材に多く使われました。その後、材の枯渇と共にツキ板が主流となりました。現在では工芸品や楽器部材・彫刻・寄木・象嵌・ビリヤードのキュー材・木軸ペンなどごく一部が使われているに過ぎません。
ローズウッドの概念
ローズウッドは、”バラの香り”が有る材の総称です。世界には20属35種の多種に渡る材を指します。その中で良く知られている材が南米ではブラジリアン・ローズウッドが代表で、アジア圏では紫檀(したん)、サイアミーズ・ローズが地域代表です。詳しくは以下のページをご確認ください。
ブラジリアンローズの別名
(英)ブラジリアン・ローズウッド、リオローズウッド、(独)パリサンダーホルツ、ジャガランダ・ホルツ、(仏)パリサンダー・ブラジル、(ブラジル)ジャガランダ・バイア、ジャガランダ・ペトロ、パウフェロなどの呼び名があります。ブラジリアンローズ材の中でも若令林の辺材(白太が深い木)は、現地でジャガランダ・ブランコと呼ばれ、白太の深い木に限って”芳香”が強いと言われています。
ブラジリアンローズの特徴
杢目・色彩
かつて大径材が入荷していた時代は、紫色・紫褐色が主体で美しい縞目(杢)が有り、目が細かい材が有りました。径が細くなるにつれて、黒褐色・茶色を中心とした褐色材がどうしても多くなりました。
芳香・香り
ローズウッドはその名の通り、バラの香りがします。材によっては香りの強弱が当然有り、又、古材で当時のツキ板の残り材は1~2ヵ月煮沸される為、ほとんどの材はどうしても香りが飛びます。香りについては扱った人には、甘いローズの香りがしますが、正確に言うと、例えば町の花屋さんに行って売られているバラの花を嗅いでも長く品種改良されたバラでは、香りが一致しません。15世紀から17世紀(大航海時代)当時、ヨーロッパで流行していたバラの香りオールドローズ種と言われるバラの香りと一致します。当時流行していたイギリスでは、レディエマ、フランスではローズポンパドール、ピエールドロンサー等が香りが一番近いと言われています。
重さ
同じローズ科の紫檀(したん)と比べるとはるかに紫檀の方が重く感じます(乾燥材条件)。ブラジリアンローズの方が軽く感じられます。
他のローズウッドとの見分け
ブラジリアンローズの材面には、油脂状の感触が必ず有ります。もっと専門的にはブラックライトを使った蛍光テストもあります。
現在1973年以前輸出された材がアメリカの木材ネットで出品されています。しかしワシントン条約が現在中南米諸国にも深く浸透しており、日本には持ち運び出来ません。現在、少量で日本国内で流通している材を大切に使う事をおすすめします。