紫檀(したん)は、マメ科で学名が、ダルベルギア属・コーチンチネンシスです。産地は、南米アジア(タイ・ビルマ(ミャンマー)・カンボジア・ラオス・ベトナム・マレー半島・インド南部・セイロン(スリランカ))です。別名は、日:本紫檀(ほんしたん)、英:サイアミーズ・ローズウッド、産出国により国名の冠を付けた何々ローズウッドと呼ばれます。サイアミーズの原義はシャム(タイ)の国名から取られています。このシャムが各国現地語と混ざり、シーシャム・シアムローズウッドとも呼ばれます。紫檀は紛れも無く、アジアを代表するローズ・ウッドです。
「A」の様に赤身が残る材から、「B」、「C」と色が年数により移行します。
紫檀(したん)について
紫檀(したん)は、樹高15m~25m・径60cm~1m近い大径材もあります。製材時は赤紅色の帯縞目が、はっきりとしていて、経年変化し始めると紅紫色・紫褐色、更に年数が増すと黒紫褐色に変化します。材中に美しい縞模様の有る物があります。写真では分かりにくいのですが、「C」の様に変化し、紫檀の名の通り深みの有る黒紫色になります。
材の用途
現在も唐木(からき)と称される正倉院・御物中に有る伝来の唐木細工品を代表に、小物細工・象嵌材に多く使われて来ました。1m近い径を誇る材ですが、不思議と90cm近い1枚物のテーブル材は見た事がありません。この事は、乾燥時に割れ等が起因と思われます。現在では、産出国の自然保護の観点から、伐採・輸出規制の対象となっています。アジアのローズウッドの代表格として今有る材を大切にして行く事が大事です。
写真③の「A」は、紫檀材の変り種(虹色)です。「B」は赤の色彩が残る柾目です。
写真④の「A」は、同じ紫檀のレインボーカラーの変り種の材です。「B」は、赤の色彩が色よく残る柾目材です。
小さな材の評価
紫檀の丸太は、堂々として立派です。実際製材してみると、欠点(洞(ウロ)等)も多く、なかなか巾広の材の取材が出来ません。1820mm×巾500mmでも、乾燥材としては最大のサイズの1つです。又、小さいサイズが多いのは、乾燥途中で干割れ・割れが生じ易く、どうしても小物サイズが多いのが理由の1つです。現在木軸ペンの世界では、本材のチヂミ杢が人気を集めています。時代と共に材の評価基準が大きく変化しつつあり、小さいサイズを生かす事は大切な事です。
写真⑤は、今話題の”木軸ペン”の世界で人気が高い各産出国の紫檀材の伐採根の再利用で出て来た良材品です。日本の屋久杉と同じで、山に置き去りにされた材、土埋木の再利用です。
左より経年変化の推移と、強烈にパンチ有るチヂミ杢(「E」、「F」)です。