ウォールナットは、クルミ科で学名ジュグランス・ニグラです。別名はブラック・ウォールナット、ネイティブ・ウォールナットです。北米でウォールナットと言えば、土着のくるみで本種を指します。樹高30m~40m・径2mを越える材も有りますが、高樹齢の大木はほとんど切られ、今ではほとんど残っていない状況です。木の寿命は、おおよそ250年~300年で、最低でも100年を超す材でなければ用材として向かないと言われています。北米大陸・五大湖より南イリノイ・アラバマ・テキサスに至る地域が産地です。
ウォールナット(クルミ)について
褐色の木地や暗褐色や紫褐色などが主体で、樹齢や育成環境により根元や幹にいろいろな杢目が現れ”世界3大銘木”と謳われる材種の1つです。又アメリカでは、特に落ち着いた色彩が特に好まれ、家具・テーブル材として広く用いられています。
ヨーロッパからの移住開拓民は、家造りに始まり、くるみの採取と日陰を作る為、家廻りに植林しました。上質な”クルミ”を取る為、材に鉄を打ち込んだり、射撃したと言われています。
いろいろなアメリカンウォールナット
- アメリカに根を下すウォールナットはアメリカン・ブラックウォールナット・ネイティブウォールナットと呼ばれます。
- アメリカの西部カルフォルニアには、同じブラックウォールナットの気候条件により、中型径のハインズウォールナット(亜種とも言われます。)が生育しています。
- ハインズウォールナットが移民(ヨーロッパ)が持ち込んだ”クルミ”と自然交配雑して生まれた材は、”バストゥーンウォールナット”と呼ばれます。
- 在来種のカルフォルニア種の”クルミ”に、開拓民が持ち込んだ”クルミ”ヨーロッパ種を接木・挿木した際、植物による拒絶反応により、複雑な杢目を持つ材の総称が”クラロウォールナット”です
同じブラックウォールナットでも、地域や生育の方法により4つの名前を持ちます。この他に五大湖周辺では材面が淡褐色のホワイト・ウォールナットと言われる”バターナット”の種も有ります。
材の利用・提案
ウォールナットは、建築材・造作材はもちろん、ドア・壁面材・キャビネット家具類を中心に、又小物で彫刻や細工物に至るまで用途は多様です。現代では無垢よりもツキ板にして用いられる方が多く、無垢材利用の需要も多い事も事実です。天然の良材は年々減少し、出材量が少なくなってきていて、大径材がふんだんにあった時代とは異なり、今後は材を生かした提案が求められます。今でも巾が80cm~1m近い材は立派で、会社の会議室や一般の家庭でも、キッチンテーブル・カウンター・応接テーブルに人気が有ります。
プロである以上、小巾の天然皮肌を生かしたり、ブック加工や材の形を上手に用いるセンスが問われる時代に入りました。
東京・神宮前
(株)齋藤裕建築研究所・デザイン作品
写真⑥は、箱にも創作性が溢れるウォールナットの杢が詰まった木軸ペンです。
世田谷区 東京工房 製作