原木(げんぼく)・原太(げんた)を買う時の注意点をご紹介いたします。
目次
原木(げんぼく)・原太(げんた)購入時の注意点
原木(げんぼく)・原太(げんた)を買う時の注意点として以下の内容があります。
①切り旬(しゅん)・季節があっている丸太か?
木の伐採は、秋の彼岸から春の彼岸までと、昔から言われています。つまり樹木が水分を吸い上げる事を止めた時期を指します。現在は、地域県にもよりますが、温暖化なので、例えば雪が降る季節、酷寒な時に木出しされた丸太は、製材後、板にした時、管理し易いと言われています。逆に梅雨や初夏では、水を吸い上げている時期なので、良材でも挽いた後、色ムラ、色上がりが悪く、まったく話しになりません。
②出品されている丸太類(配列)で丸太の下場が見えない物
意図的に悪い所(枝・節など)を下にして見えないようにしている場合があり、また成り(曲り)がある材を平均に置いてある場合があります。目に見える材積計算をして下さい。
③丸太の皮目・皮肌のチェック
丸太の姿、成り、形、葉節、鉄砲虫等の欠点の有無は必ずチェックして下さい。
④丸太の小口のチェック
丸太の小口のチェック(年輪・樹齢・小口断面の形など)、特に雷落ちは、見落としがちなので要チェックです。雷落ちは皮肌に出ている樹種は少なく、たいてい小口に出ているケースが多いです。
⑤欠点が隠されていないか?
丸太の小口に沢山の泥が付いていたり、欠点を隠す為に薬品を塗って良材に見せているケースが有ります。同種類の丸太の並んでいる時、目立って色上がりが良かったりする丸太は要注意です。
小口の割れから絶対に買ってはいけない丸太例
原木・丸太の小口の割れから絶対に買ってはいけない丸太例をイラストを用いて解説いたします。
「A」は、末(すえ)の小口と元(もと)の小口の芯の近くに割れがありますが、同じ位置に割れがあり、買付後の製材等に差し支えがありません。まったく目割れが無い場合や、片方にある場合も同じです。
-
「B」は、元の小口を見ただけで、伐採時の倒し割れだと判断できる代表的な例です。切り株の1部の材片が小口に付いていたり、割れの方向性がまったく無い樹種問わず使い物になりません。
倒し割れは、見た目以上に大きな傷を負っている!! -
「C」は、目離れ(めばなれ)・身離れ(みばなれ)と言う割れ方です。寒冷地に多く発生する事が多いです。樹液水分が凍て付く寒さで凍って、年輪目が裂けた材で、これも使い物になりません。昔は鋸(ノコ)の無い時代、両小口の目廻りに、鏨(タガネ)を打ち込んで、板を取ったのはこのように目廻りが有る材を選びました。
予測が付かない別れ方!! -
「D」は目廻り(めまわり)と呼ばれ、年輪目を1週して、木の軟らかい部分が更に割れている事を指します。「A」の目割れとは、本来区別して呼びます。また、決まって木の腹の良い部分に必ず入り込む傾向が高い割れ方です。木の半分は使えます。
目割れの方向・腹・背側のどちらにあるのか? -
「E」星状に割れているので”星割れ”と言います。素人では手に負えない割れ方です。
”星”は”木”の勲章では無い!! -
「F」十字に割れているので、”十字割れ”と呼んでいます。これも素人では手に負えない割れ方です。
サザンクロスと名前は良いが、曲者(くせもの)である!! -
「G」変形割れの一種ですが、口の形に似ているので、”口割れ”、口が小さいのは”おちょぼ口割れ”と言います。丸太自体、どのように割れているか、プロでも解りません。これも素人では手に負えない割れ方です。
おちょぼ口は可愛いが、容姿に騙されるな!! -
「H」雷落ちの丸太の断面です。年輪と関係無く、電光跡が点線のように入っている丸太です。これこそ絶対に、プロ・アマ問わず、手を出してはいけない丸太です。
人はクワバラ、クワバラ逃げられるが”木”は動けない!!
原木丸太・買付の格言
松(まつ)
以下に登場する松(まつ)は、この場合、黒松・脂松(ヤニ松)・男松の事を指します。
①海岸に生えている松は買うな!!
この格言は、海岸は台風・暴風を受け、長年の間ダメージを受けて来ていて、ヤニツボ・ヤニ筋・枝折れ・胴割れが多いと昔から言われ、松は内陸買いと言われています。
②板腐れ、根の洞(ウロ)の松は買うな!!
この格言は、松の洞(ウロ)は見た限りの深さで止まっている事が無く、ささぐれ状・捻り状に深く、腐れの焼けが深いとされています。私も貯木場に入っていた松を買って、土場で製材しようと思ったら、水切れと共に、丸く洞焼けが深く入っていた経験があります。
欅(ケヤキ)
欅(ケヤキ)の末腐れは買うな!!
欅(ケヤキ)の樹上の二肌・枝分れ部分にある小さな穴・洞(ウロ)は、根元近くまで腐れ、洞(ウロ)が有ると言われます。
杉(スギ)
杉の根元・末に穴が有る木は買うな!!
杉(スギ)の根元の穴は、子供らの火遊び(焼跡)や、蜂の巣、動物の穴倉などが多いです。また、枝や幹など、高い場所に有る穴は、キツツキ、ムササビの穴は意外と深いと昔から言われ、立木を買う時、斧(オノ)の背で、冬場に幹を叩いて確認しろとも言われます。斧でコン、コーンと叩くと、冬眠していた小動物が飛び出して来ます。
よくある質問と回答
質問:雷落ちの木はなぜダメなのですか?
回答:この丸太を挽いた”盤”、”一枚板”、”ツキ板”等フリッチ盤は、乾燥時にピリピリ氷(こおり)が割れるように、必ず皮割れを起こします。ツキ板にした時、柾目に直角に割れていれば良いのですが、柾ハギが可能ですが、雷は自然の現象なので、人間の都合よく割れません。板目に関しても、カミソリ2枚で切ったように、干割れを起こします。桧の板で同じようにささぐれが必ずおきます。雷は、天災の災い(わざわい)ですが、”木”を扱う者にとって、避けなければならない事柄の一つです。
木・板購入時の注意点について
木・板購入時の注意点について、立木(たちぎ・りゆうぼく)購入時の注意点、原木(げんぼく)・原太(げんた)購入時の注意点、一枚板購入時の注意点に別けてご紹介いたします。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。