年輪から挽墨を間違い想像していた杢目と違った杢目が現れた時の対処法です。既に板になっていて、厚みが有れば良杢に変える方法です。①②③の基本の杢の直し方ですが、製材やプレナーを用いても直せます。製材時やプレナーを使う時でも、焦らずゆっくり削りながら杢目の出具合を見ながら、製材時などはとかく製材機の音がうるさく、落ち着いて墨線(挽線)を考え難いので、一旦材を台車から降ろして、ゆっくり考えてから製材する勇気を持ってすべきです。また、街中の製材所は、次の客が待っていたり、人の材を挽くのを見たがる事が多く、せっつかれても慌てない事です。初心者であれば、必ず製材所に予約を入れるのも肝心です。

杢目(もくめ)をバランス良く挽き直す術

図Aによる説明

図A

図A

  • ①のイラスト図は、盤中央に杢目の中心が乗らず、上部の方へ杢が有る場合です。赤線、赤塗りつぶしの様に、杢の反対側の部分を多く取り、墨直しをすると杢は中央に必ず寄ります。イラストは、末の方に受け顔(うけずら)を描いている材は、塗りつぶしの三角の面積は、末の方が弱冠薄い三角形にします。そうすると杢のバランスが良くなります。
  • ②のイラスト図は、盤の元の方に少し芝目(しばめ)が付いているので、バランスが見苦しいので、元を大きく取り、末は少なく取ると杢のバランスが良くなります。芝目があっても良い、しかし杢は長さに対して1/2を中心に持って行きたい時も同じです。
  • ③のイラスト図は、①と逆に下の方に杢が片寄った例です。①と同じように、垂れた杢目の反対側を多く取ります。赤丸印は、盤の1/2の長さの所です。イラストでは、末に返しの杢が、中央に乗っています。考えは少し難しいですが、末の年輪と元の年輪の間の中間を取った三角形を合わせると、上手く中央に杢が乗り、下垂れの杢目も戻ります。

だれでも初心者は迷う所なので、経験を積むとすぐに頭の中で直しの墨線がすぐ気付くようになります。

図Bによる説明

図B

図B

「A」は欅(ケヤキ)の根玉挽です。共に挽き顔に玉杢があります。

  • ①の顔は、根の張りの方向と同水平墨を出して挽きます。その様に挽くと長さに対して芝目(しばめ)を付けず、全体に杢が乗り、玉杢のバランスも良い杢目立ちです。
  • ②のような根張りを無視して、直角に挽き割ると②のような杢目柄材によっては、ただの板目挽きになります。また、折角の玉杢の肌を無視したので、玉杢目はありません。
  • 「B」は欅(ケヤキ)の根玉挽です。「A」の根玉と違う所は、形状、成り(なり)が悪い点です。③の場合、へこみ部分を計算に入れ、上下の1/2で、墨顔を合わせます。多少目玉杢が出る可能性がありますが、長さ巾いっぱいの板・盤を取る為の勝負墨です。
  • 「B」の①②は、中央部分に節・節影が有ります。難点を避けて、長さはまちまちになりますが、杢の受け顔を平行に木取りします。平行に木取りしますと、①②共、玉杢が乗った2丁共バランスの良い盤が取れます。
  • 顔の角度が違うので、木挽でも”引き止め”をします。製材では、鋸を入れて青線近くになったら、動力を止め台車をバックして、青線部分をチェンソーで切ります。多面体に盤取りする時は、B図のような根玉は、台車に乗せて何回も引き止めを繰り返せば、4~6丁と自由に取れます。”引き止め”取りで、注意しなければならないのは、チェンソーを使って、引き剥がしをします。荒っぽいですが、チェンソーで首1枚残して、バールなどで引き剥がし落下させます。この場合、厚く重量の有る盤ですと、倒し割れと同じ様に、落下の衝撃で板盤が割れる事があるので、クッションとして古タイヤを先に敷いておくと便利です。

この回を持ちまして、木取り製材の仕方等のお話しは終了いたします。何か疑問点やわからない事があれば、ご遠慮なくご質問下さいませ。


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