虎杢(とらもく)・虎杢目(とらもくめ)についてのご紹介です。
虎杢(とらもく)・虎杢目(とらもくめ)
写真①は、動物の虎(トラ)です。山猫(やまねこ)、家猫(いえねこ)でも虎の様な縦縞模様(たてじまもよう)を有する杢目の総称を虎杢(とらもく)・虎杢目(とらもくめ)と言います。写真①は、東南アジアに生息する虎(ベンガルトラ・スマトラトラ・マレートラ)ですが、日本人が言う虎杢目(とらもくめ)は、現在のアムールトラ・シベリアンタイガーの持つ虎目が基本的、時代的な見方です。なぜなら、当時交易上で、早くから日本に紹介された虎は、現在生息はしていませんが、朝鮮半島、満州・沿海州に生息する北方系のトラの虎目です。北方系のトラの虎目です。南方系と異なり、全体が白い体毛で覆われ、明らかに縦縞模様が異なります。
写真②は、虎杢目(とらもくめ)の代表的な楢材(ならざい)です。これだけ材の巾いっぱいに現れる虎杢目(とらもくめ)は珍しいです。巾45センチメートル、柾目側に現れているので、斑杢(ふもく)に属します。
写真③は、樹種では珍しい欅板材に出た虎杢目(とらもくめ)です。板目材に生じた模様で、斑杢には属しません。
豹紋柄(ひょうもんがら)
写真④は、動物の豹(ひょう)です。はっきり虎杢目とは言えない杢目、動物の豹類(ヒョウルイ)の模様で、樹種により虎杢目(とらもくめ)では無く、豹(ひょう)に近い紋・柄を豹紋柄(ひょうもんがら)と言います。欧米では、パンサーマークと言います。
写真⑤は、スネークウッドの各代表的な杢目柄(もくめがら)です。スネークウッド自体、いろいろな呼び名があり、細かい文字の手紙に見る人は、レターウッドと言い、豹柄に見立てる人は、パンサーウッド・タイガーウッドとも呼ばれ、爬虫類(はちゅうるい)の蛇や蜥蜴(とかげ)の鱗(ウロコ)に似ていれば、日本では蛇紋木(じゃもんぎ)と昔から呼ばれています。
この様に、国々によっても呼び名は違い、こと動物柄は、特に生息していない動物については、あてはまりません。また、民族の受ける印象、感受性によっても異なります。楢(なら)やスネークウッドあたりが、虎杢目(とらもくめ)が妥当かもしれませんね。
虎杢・虎杢目のご紹介は以上です。続いて中杢目をご紹介いたします。
杢目(もくめ)の種類
木の杢目(もくめ)には様々な種類があります。図は一本の杉原木からのいろいろな杢目を木取るイメージとなっていますが、このイメージから把握できる通り、同じ樹種でも木取る場所が異なれば、違う杢目(もくめ)が現れます。杉の例となりますが、杢目を木取る区分としては、白太(辺材)(しらた)、純白・白杢(じゅんぱく・しらもく)、源平・耳白杢(げんぺい・みみじろもく)、上杢目(じょうもくめ)、笹杢・中笹杢目(ささもく・なかささもくめ)、中板目(なかいため)、中杢目(なかもくめ)、追い柾・荒柾(あらまさ)、本柾目(ほんまさめ)に分類されます。杢目(もくめ)の種類をご確認いただく前に、木目(もくめ・きめ)と杢目(もくめ)の違いについて、杢目(もくめ)と斑杢(ふもく)の違いについて、杢目はどうして生まれるのか?も合わせてご確認ください。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。