蛇紋杢(じゃもんもく)・蛇紋杢目(じゃもんもくめ)についてのご紹介です。
目次
蛇紋杢(じゃもんもく)・蛇紋杢目(じゃもんもくめ)
蛇紋杢(じゃもんもく)・蛇紋杢目(じゃもんもくめ)は、その言葉通り爬虫類の蛇・蜥蜴類の主に側面に有る模様から呼ばれます。これらの皮の利用は、古くは沖縄の三線楽器の胴の部分(ニシキヘビの皮張り「昔はハブ皮だったと言われています。」)、今日では財布・バック・印鑑入れ等、日本で多く用いられています。その多くは、富・金運・財運・吉兆の象徴としての意味合いがあります。信仰の世界でも蛇自体、神の使いでもあり、神社の御神体になっている所もあります。
写真①は、紅葉(もみじ)材の蛇紋杢です。木の皮肌から深部まで深く杢があります。
世界に目を向けても蛇にまつわる神話は多く有り、古代エジプト・ギリシャ・ローマ・中世ヨーロッパ・北欧・中南米インカまで及びます。材木業界では、南米産スネークウッド(蛇紋木)が有名ですが、この材に現わる杢目は西欧の人々には、古代文字(レターウッドと称し)杢目に関しても日本人とは異なります。蛇の皮目模様を樹木の杢目に写し込んで呼ぶのは日本人だけです。
この杢目を見て、カーリーとかキルトとかの表現は、人種による感性で決まります。
よくある質問と回答
質問:蛇模様の木は他にありますか?銭形紋?
木の世界は奥深いので、世界を見渡せばまだまだあるとは思います。蛇紋の中に銭形紋(ぜにがたもん)があります。これは日本のマムシ(毒蛇)の側面模様の丸形・小判形の連結した紋様です。残念ながら私は見た事がありませんが、業界の古老からうるしの木や赤樫木・小笠原桑などにも有り、当時も珍重されたと言います。
御蔵島の金桑の外皮の肌に銭形模様が有り、その輪郭線がそのまま身の深部まで胡麻斑として繁っています。点々と残る桑の特徴である胡麻斑です。材の中に少なからず貴重な杢目が隠れていますので、注意して見て下さい。
質問:その他珍しい杢目はありますか?
杢目のいろいろのジャンルには入りませんが、夫婦節(めおとぶし)と呼ばれる物があります。大きなテーブル一枚板、建築用材の中の床ノ間地板・琵琶床の板面に大小のたった二つの節、しかも少し離れて存在し、抜け死節では無く、まるで夫婦が仲睦み合う様にある節です。用途材は脂松(ヤニ松)、節が多く現れ易い木で大きな面に節二つは難易度が非常に高く自然の偶然性に大きく左右されます(近い内に写真と共に夫婦節を投稿します)。
蛇紋杢・蛇紋杢目のご紹介は以上です。続いて如鱗杢・如鱗杢目をご紹介いたします。
杢目(もくめ)の種類
木の杢目(もくめ)には様々な種類があります。図は一本の杉原木からのいろいろな杢目を木取るイメージとなっていますが、このイメージから把握できる通り、同じ樹種でも木取る場所が異なれば、違う杢目(もくめ)が現れます。杉の例となりますが、杢目を木取る区分としては、白太(辺材)(しらた)、純白・白杢(じゅんぱく・しらもく)、源平・耳白杢(げんぺい・みみじろもく)、上杢目(じょうもくめ)、笹杢・中笹杢目(ささもく・なかささもくめ)、中板目(なかいため)、中杢目(なかもくめ)、追い柾・荒柾(あらまさ)、本柾目(ほんまさめ)に分類されます。杢目(もくめ)の種類をご確認いただく前に、木目(もくめ・きめ)と杢目(もくめ)の違いについて、杢目(もくめ)と斑杢(ふもく)の違いについて、杢目はどうして生まれるのか?も合わせてご確認ください。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。