梶本銘木店新木場本社1階には、現代の名匠数寄屋師「山本 隆章氏」により作り上げられた本格茶室「木楽庵」のショールームがあります。「茶室ってそれほど珍しいものなの?」と思う方もいるかと思いますが、本格的で正規な茶室を作れる人は、国内はもちろん世界でも数少ない職人さんです。掛け込み天井を作る際には、自然に育つ木の上向き、下向きの方向(元末)を読んで、板を張り合わせていったり、室内の中から障子に光を照らした際に美しさがでるか?など様々な要素が茶室には組み込まれています。話を実際に聞いてみると、今まで知ることができなかった多くの事を知ることができ、「へー」っとひたすら関心するばかりでした。

数寄屋師(数奇屋大工)とは

数寄屋師とは、規模が小さい茶室などを手がける大工です。数奇屋大工、数寄屋師などと呼ばれています。大工には、よく聞く宮大工(堂宮大工)、町屋大工と数寄屋大工がいます。それぞれの違いは以下の通りとなります。

数寄屋師(数奇屋大工)とは

数寄屋師(数奇屋大工)が手がけた茶室「木楽庵」がどんな内容かについて、以下でまとめています。

茶室「木楽庵」とは

梶本銘木店新木場本社1階にある茶室「木楽庵」は、

木の香で満ちた日本家屋で楽しく暮らしたい

という希望から名づけられたそうです。細部に渡る名称は、以下の通りとなっています。

茶室「木楽庵」

茶室「木楽庵」

  • 1.貴人口
  • 2.躙口(にじりぐち)
  • 3.下地窓(皮付葭)
  • 4.連子窓(晒竹)
  • 5.腰掛待合
  • 6.床柱(赤松皮付丸太)
  • 7.落掛(杉杢)
  • 8.床框(北山杉入節太鼓落し)
  • 9.中柱(椿中曲り)
  • 10.炉
  • 11.給士口(火頭口)
  • 12.平天井(黒部ヘギ矢羽根網代)
  • 13.落天井(真菰)・竿縁(晒竹)、下り壁見切(北山杉名栗加工)
  • 14.茶道口(方位口)
  • 15.下り壁見切(赤松皮付丸太)
  • 16.廻縁(香節・晒竹・赤杉)
  • 17.突上げ窓
  • 18.掛け込み天井(黒部ヘギ板)
  • 19.竿縁(女竹 吹寄)
  • 20.垂木(晒竹芽付)
  • 21.小舞(女竹)
  • 22.間垂木(女竹)

黒部ヘギ矢羽根網代

黒部とはヘギ板を編んだ網代のことで、ヘギ板とは、杢目に沿って手で薄く割り広げた独特の光沢があるのが特徴の板です。ヘギ職人はとても少なくなっているそうです。

黒部ヘギ矢羽根網代

黒部ヘギ矢羽根網代

樹種

ネズコ(クロベ・黒檜)、ヒノキ科クロベ属

産地

本州北部から中部山岳地域

茶室「木楽庵」前の休憩スペースには、網代のサンプルが展示されていました。網代の展示スペースは3階にもありました。

網代のサンプル

網代のサンプル

茶室「木楽庵」の様子

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」です。建物の内部に入ることはできません。

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

この茶室の凄い点はとても沢山あるのですが、特徴的なところをご紹介いたします(数寄屋師じゃないと全て理解できないので、一部ご紹介です。)。まずはこちら。この丸太と丸太の結合部分。この技術は熟練した数寄屋師でなくては実現できません。

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

次はこちら、釿(ちょうな)によって削がれた柱です。杢が出ているのが確認できるかと思うのですが、この杢を出すセンスは、木を読む経験と知識が必要です。

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

貴人口には水車板で作られた茶室「木楽庵」の看板がかかげられています。

水車板で作られた茶室「木楽庵」の看板

水車板で作られた茶室「木楽庵」の看板

水車板は、なかなか見かけることができない端材ですが、梶本銘木店新木場本社2階の端材コーナーで在庫があれば、購入することができます。

梶本銘木店新木場本社2階(端材売り場)の様子

掛け込み天井を撮影した写真です。見た目が綺麗であることだけでなく、木の元末を読んだ上で組まれているとの事でした。凄すぎます。私だったら途中で発狂して、放り投げてしまいそうです。

掛け込み天井

掛け込み天井

「千鳥貼り」、「石垣貼り」と呼ばれる障子の張り方です。一般家庭にある障子は、ちょうど障子のつなぎ目箇所が、外から見えないようにするため板の間に来るよう張り合わせることが多いですが、「千鳥貼り」、「石垣貼り」だと、まさに石垣のように紙のつなぎ目があえて木の部分に来ないように張り合わせます。なぜこのような張り合わせ方をしているのか?という理由がこちら。

「千鳥貼り」、「石垣貼り」

「千鳥貼り」、「石垣貼り」

茶室の室内から照らされた明かりで、障子の影が出来た際に、紙と紙のつなぎ合わせも影となって綺麗に映し出されるようにしているそうです。

茶室内の明かりで浮かび上がる「千鳥貼り」、「石垣貼り」

茶室内の明かりで浮かび上がる「千鳥貼り」、「石垣貼り」

奥が深すぎます。そしてこちらの扉もある工夫がされています。シッカリと開ききった扉ですが、格子の影が外からの光によって障子に影が出来ています。これもあえて、窓枠の格子部分を大きく設計することによって、外からの光を室内に取り込んだ際、障子に綺麗な影ができるように設計されているそうです。ますます奥が深いです。

外からの光が格子柄に障子に影を作る

外からの光が格子柄に障子に影を作る

本物の茶室を作れる数寄屋師は、古くから代々伝わる茶室の細かい設計を熟知しており、それを再現できる技術を持っています。

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

梶本銘木店新木場本社1階に展示されている茶室「木楽庵」

茶室金物

茶室金物とは、茶室の建築で利用される金物です。鉄製であることが原則とされており、様々な種類があります。どの茶室金物を選ぶかについては、家元や設計家の好みやセンスなどによって変わってきます。 梶本銘木店新木場本社1階の茶室「木楽庵」前には、67種類もの茶室金物が展示されています。

67種類もの茶室金物

67種類もの茶室金物

休憩所

茶室「木楽庵」の前には休憩ができるスペースと、花台や靴ベラなどの販売スペースがあります。

茶室「木楽庵」前の休憩スペース

茶室「木楽庵」前の休憩スペース

茶室「木楽庵」前の休憩スペース

茶室「木楽庵」前の休憩スペース

販売されている靴ベラ

販売されている靴ベラ

販売されている花台や端材

販売されている花台や端材

1階には少ししか端材は販売されていませんが、2階の端材コーナーでは沢山の端材が販売されています。

梶本銘木店新木場本社2階(端材売り場)の様子

梶本銘木店新木場本社「世界の優良銘木展示場」を訪問

新木場にある梶本銘木店新木場本社「世界の優良銘木展示場」を訪問してきました。梶本銘木店はとても歴史がある銘木店であると同時に、新木場の本社は世界の優良銘木展示場が併設されるほど、もの凄い広大な敷地に世界の銘木があります。梶本銘木店が創業したのは昭和10年で、日本ではなく中国北京が発祥の地です。戦後の昭和22年に東京都江東区深川富岡町にて、(株)梶本銘木店が開業し、(株)東京新建材社の新規設立や、江戸川営業所、千葉営業所、練馬営業所、成田営業所などの設立を経て、昭和55年に現在の新木場に本社が移転してきたそうです。梶本銘木店新木場本社敷地内は、1階工場北山杉絞丸太茶室「木楽庵」2階には、珍しい水車板なども販売されている端材コーナー3階には、一枚板、座卓、床柱、自然木などの販売フロアがあります。実際に一枚板の購入検討をしながら、梶本銘木店新木場本社を訪れてきた様子をまとめてみたいと思います。

梶本銘木店新木場本社「世界の優良銘木展示場」を訪問


新木場で一枚板が購入できるお店

木材の町、新木場。沢山の材木屋や銘木屋があるのですが、どこのお店に足を運んだら一枚板が購入できるのかイマイチよく分からなかったので、実際現地に足を運び、一枚板を購入できる店舗を確認してきました。新木場で一枚板を販売する店舗の多くが、高く桟積みされた状態で一枚板を販売している店舗が多いため、一枚板を購入しに新木場へ訪れる際には、あらかじめ訪問する店舗に、希望の樹種、サイズを伝えておいた方が、ジックリと希望の一枚板を選定することができます。

新木場で一枚板が購入できるお店


一枚板販売店訪問記

一枚板販売店訪問記では、実際に訪れた一枚板を販売している家具店一枚板専門店材木店・銘木店についての情報をまとめています。実際に様々な店舗を訪れたり、インターネットを通じて一枚板を購入してみるとなぜか感じるのが、販売店によって一枚板に特徴があるという点です。その特徴が具体的に何なのか?という点を分かりやすく説明するのは難しいのですが、一枚板を販売する気持ちや想いの特色が、一枚板に乗り移っているような感覚が私にはあります。一枚板は唯一無二な全てが一点モノの無垢材という点は、一枚板を販売する世界中にあるお店に共通する点ですが、訪れる店舗によってそのお店の特徴が出るのは、一枚板を仕入れたり、作り上げたり、販売したりする人の気持ちや考え、方針の違いのためなのだと思います。本ページは、一枚板を購入する側の立場で、実際に訪れた店舗にて、写真撮影をさせていただいております。お店に訪れる前の雰囲気の確認などでご活用ください。

一枚板販売店訪問記