無垢材である一枚板テーブルに対しての塗装は、主に塗装無しの完全な無垢な状態、オイル塗装、液体ガラス塗装、ウレタン塗装、セラウッド塗装に分類されます。一枚板に対して塗装を行なう大きな理由は2種類あります。一つ目が、一枚板の割れ、反り、ねじれといった問題を回避するという点です。二つ目が一枚板を汚れから保護し、経年変化を防ぐという点になります。どの塗装が一番優れているか?という事では無く、それぞれの塗装にメリット、デメリットがあり、購入時の要望によって塗装の選択肢が別れてきます。塗装の種類と、それぞれの違いについて以下のページでまとめています。
塗装の種類
一枚板テーブルの塗装の種類は、主に塗装無しの完全な無垢な状態、オイル塗装、液体ガラス塗装、ウレタン塗装、セラウッド塗装があります。それぞれの特徴を簡単にまとめると以下の通りとなります。
塗装は、それぞれに一長一短があります。耐久性がある一枚板テーブルを希望するのであれば、セラウッド塗装や、紫外線に対して耐性があるウレタン塗装となってきますし、木の香りや素材感をそのまま楽しみたいと希望すれば塗装無しの状態が選択肢の候補として上がります。塗装無しの状態で、かつ汚れからの耐久性を高めたいと希望すれば、PSマットや、テーブルランナーを利用することで問題を解決することができます。また、木の素材感や香りを残しつつ割れ、反り、ねじれを少しでも防ぎたい場合はオイル塗装を選択する事になります。更に経年変化を避けたい場合は、液体ガラス塗装の選択肢となります。
塗装無し
丸太から切り出した無垢材そのもの。木の質感、木の香りを十分堪能することができ価格が安価。気に入った一枚板を複数本購入して、部屋のインテリアとして飾るのにも最適。また、古材へと変化する経年変化も楽しむことができる。
- 木の質感:高い
- 木の香り:高い
- 経年変化:最も大きい
- 販売価格:安
- 汚れ:拭き取れない場合有り
- 杢目:自然(天然のまま)
- メンテナンス性:高い(自身で可能)
オイル塗装
一枚板の割れ、反り、ネジレを最も安価に回避するための塗料。無垢材にオイルを塗ると、杢目が際立つ。古材へと変化する経年変化も楽しむことができる。
- 木の質感:高い
- 木の香り:高い(塗料が多いと塗料の香りが目立つ場合がある)
- 経年変化:大きい
- 販売価格:中ぐらい
- 汚れ:拭き取れない場合有り
- 杢目:無塗装と比較すると際立つ
- メンテナンス性:高い(自身で可能)
液体ガラス塗装
オイル塗装のメリットに耐久性の効果を加えた塗料。オイル塗装と同じく、液体ガラス塗装を塗ると、杢目が際立つ。
- 木の質感:高い
- 木の香り:高い(塗料が多いと塗料の香りが目立つ場合がある)
- 経年変化:低い
- 販売価格:オイル塗装よりも高い
- 汚れ:拭き取れない場合有り
- 杢目:無塗装と比較すると際立つ
- メンテナンス性:高い(自身で可能)
ウレタン塗装
「ウレタン=昔のちゃぶ台」と表現される事がよくある塗装方法。ウレタンを薄く塗ればセラウッド塗装と見た目は変わらない。セラウッド塗装よりも耐久性が劣るため経年変化が発生しやすいとされる。中には紫外線からの耐久性がある効果的にはセラウッド塗装に近いウレタン塗装もある。木の質感、香りは無垢材と比較すると明らかに劣る。一枚板に触れた感触は、木というよりもプラスチックのような感触。
- 木の質感:低い(木の表面の凹凸を感じても滑らか)
- 木の香り:低い(ほぼ無臭)
- 経年変化:低い
- 販売価格:高い
- 汚れ:拭き取れる
- 杢目:無塗装と比較すると際立ち光沢を増す
- メンテナンス性:低い(自身で不可能)
セラウッド塗装
耐久性に優れた塗装方法。ほとんど経年変化しないとされており、一枚板購入時の状態を保つことができる。経年変化を楽しみたいと思う人にとっては不向き。木の質感、香りは無垢材と比較すると明らかに劣る。一枚板に触れた感触は、木というよりもプラスチックのような感触。
- 木の質感:低い(木の表面の凹凸を感じても滑らか)
- 木の香り:低い(ほぼ無臭)
- 経年変化:最も低い
- 販売価格:高い
- 汚れ:拭き取れる
- 杢目:無塗装と比較すると際立ち光沢を増す
- メンテナンス性:低い(自身で不可能)
どの塗装方法にも特徴があり、どれが優れている、優れていないを表す事はできません。使い方の場面にあわせて、自ら最も適すると思う方法を選択するのがベストです。
塗装による見た目の変化
オイル塗装、液体ガラス塗装、ウレタン塗装、セラウッド塗装どのような塗装を行なっても、塗装無しの完全な無垢な状態と比較すると必ず木の表情が変化します。具体的には木の杢目がくっきりと浮かび上がってきます。塗装を行なうと、塗装無しの完全な無垢な状態から、一枚板がどのように変化するのかを事前確認したい場合は、木を水で濡らすことで塗装後の表情を確認することができます。以下は、塗装後の木の表情を確認するために、無塗装状態のバストゥーンウォールナットに水が入った霧吹きで水をかけ、塗装後の状態を確認している写真です。
塗装を行なうと杢目がくっきりと浮かび上がり、木の表情が必ず変化します。
塗装の違い
塗装の種類別の違いを一覧表にまとめてみました。◎印や◯印はメリットで、☓印はデメリットとなる箇所になります。どの塗装が優れているか?というよりも自らの利用用途にあわせた塗装を選ぶのがおすすめです。例えば、無垢材の一枚板をテーブルとして利用せずに、部屋に立てかけてインテリアとして使う分にはオイル塗装で十分ですし、カフェやレストランなど利用頻度が高い場所で利用するのであれば、ウレタン塗装の方が耐久性があり、劣化せずに長期間利用できる可能性が高まります。一覧表縦軸の項目については、以下の割合を示しています。
※スマートフォンからアクセスの場合は表が横スライドします。
塗装の種類 | 無垢感 | 撥水性 | 耐透水性 | 耐熱性 | 耐久性 | メンテナンス性 | 耐紫外線性 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
塗装無し | ◎ | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ | ◎ | ☓ | - |
オイル塗装 | ◎ | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ | ◎ | ☓ | 安い |
液体ガラス塗装 | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | 高い |
ウレタン塗装 | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ☓ | ☓ | 高い |
セラウッド塗装 | △ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | ☓ | ◎ | 高い |
- 無垢感:一枚板を触った時に感じる自然な木のぬくもり感が得られる割合
- 撥水性:一枚板の上にこぼした水分をはじくことができる割合
- 耐透水性:一枚板にこぼしてしまった水分が内部まで浸透する割合
- 耐熱性:一枚板の上に熱い物を置いた時に耐えられるかの割合
- 耐久性:経年変化に耐えられ長く利用することができるかの割合
- メンテナンス性:自ら一枚板の塗装をしなおすことができるかの割合
- 耐紫外線性:一枚板が紫外線の影響を受けて変色する可能性があるかの割合
- 価格:塗料の値段が安いのか高いのかについて
塗装を行なう事で木の杢目は際立つのですが、美しい杢目をした無垢材は、塗装をしなくても美しいです。塗装を行なうか?行なわないか?は利用する方が決めればよい事なので、塗装を「する」「しない」についての良し悪しについては、選ぶ人の価値観によって異なります。私自身は、無垢材の香り、無垢材の質感、その無垢材本来の姿を最大限感じたいため、無垢材に塗装を行なう事は、耐久性を求める時以外は行なっていません。無塗装の無垢材を選択しています。
一枚板購入時の基礎知識
一枚板が通常の家具と大きく違う点は、無垢材で出来ているということです。無垢材で出来ているという事は、割れ、反り、ねじれなどが発生する可能性があり、その変化も楽しめることが、通常の家具と異なる一枚板の特徴でもあります。割れたり反ったりした場合、修理してくれる家具店や一枚板専門店もありますが、もともと工務店などに対して一枚板を販売しているような材木店や銘木店は、「一枚板は、必ず変化するもの。」という前提条件のもと小売販売を行なう店舗も沢山あります。一枚板を購入するということは、割れや反りが発生するものという点を必ず理解した上で、購入する事がとても大切になってきます。自然のままの素材である無垢材で出来た一枚板は、「触れたり眺めたりすると自然のパワーを感じる。」という方もいれば、「世界にたった一つしかない完全オリジナルな家具。」という点に魅力を感じる方も多くいます。でも、そんな魅力的な一枚板を実際に購入しようとすると、「どこで購入できるのだろう?」、「どんな種類があるんだろう?」、「含水率って何?」、「一枚板テーブルの塗装の種類と違いって何?」、「割れや反りが発生しない一枚板って無いの?」、「価格が安い無垢材から自ら塗装まで仕上げられないの?」といった沢山の疑問が出てきます。一枚板を購入する側の立場で、いろいろと疑問に思った事などを自らの体験談をもとに、一枚板購入前の基礎知識としてまとめてみました。