一枚板の割れ、反り、ねじれは、伐採された原木の中に含まれる水分が乾燥して蒸発していく過程で発生します。木の組織には、内膣と細胞壁があり、伐採前の両組織は、自由水と結合水で満たされています(飽水状態)。伐採直後の木は、少しずつ内膣から自由水が抜けていきます(生材状態)。そして、やがて内膣から自由水が完全に抜けきった含水率28%の状態となります(繊維飽和点)。細胞壁から結合水もやがて蒸発し無くなり、周囲の湿度とバランスが取れた含水率15%の状態となります(気乾状態)。そして、長い年月をかけて人工乾燥が進むことで、内膣と細胞壁に含まれる水分が完全に蒸発します(全乾状態)。一枚板の反りや割れは、一枚板に含まれる含水率が28%の状態である繊維飽和点と、含水率が15%の状態である気乾状態の間で発生しやすいとされています。
製材直後の含水率
梶本銘木店新木場本社「世界の優良銘木展示場」に、製材直後のモンキーポッドが入荷したということで、乾燥を行なう前の原木の含水率がどれほどなのかを計測してもらいました。
木の中心部分に含まれる水の量が最も大きいため、含水率を計測する際には木の中心を計測した方がよいということだったので、計測を行なっていただきました。
78.3パーセントもあります。
もう一度計測しても76.8パーセント。製材直後の一枚板は、もの凄い値が高いことが確認できます。
含水率とは、一枚板の無垢材の中に含まれている「水の量」のことです。割れや反りなどが発生しづらい一枚板の含水率は15%以下です。気乾状態を過ぎた一枚板の含水率は、15%以下から低下し安定した状態となってきます。含水率28%の繊維飽和点から、含水率15%の気乾状態の間、つまり一枚板の含水率が28%から15%の間にあり、かつ28%に近い含水率の一枚板は、変形する可能性がとても高くなります。一枚板の含水率を測定するためには、含水率計が必要となってきます。詳しくは以下のページでまとめています。
モンキーポッドは、乾燥がとても困難で、こちらのモンキーポッドは5年以上自然乾燥させています。しかし、まだ製品として販売できる状態まで乾燥が仕上がっていません。
一枚板の乾燥には、大きく分けて自然乾燥と人工乾燥の2種類があります。水分を沢山含んだ一枚板がどのような過程を経て、テーブルとして利用できる状態になっていくかについて以下にまとめます。
無垢材の乾燥について
伐採されたばかりの無垢材は、飽水状態のため、自由水と結合水を大量に含んでいます。一枚板であれば短いもので3年、長いものになると10年、自然乾燥が行なわれ、飽水状態から、生材状態、繊維飽和点、気乾状態を経て全乾状態の割れや反りが発生しずらい木材へと変化します。この変化の過程が自然乾燥(天然乾燥)と呼ばれるもので、古材においても自然乾燥が行なわれています。自然乾燥(天然乾燥)が行なわれた木材は、強度が高いという利点があり、全乾状態の木材は変化が起こりづらい安定した板でもあります。人工乾燥とは、一枚板のような大きな板をテーブルとして利用する場合において、強制的に人間が作り出した高周波プレスによって乾燥を行なうことで、より割れ、反り、ねじれが発生しにくい真っ直ぐな板を作り出す方式になります。自然乾燥(天然乾燥)と人工乾燥について、それぞれ以下にまとめていきます。
一枚板購入時の基礎知識
一枚板が通常の家具と大きく違う点は、無垢材で出来ているということです。無垢材で出来ているという事は、割れ、反り、ねじれなどが発生する可能性があり、その変化も楽しめることが、通常の家具と異なる一枚板の特徴でもあります。割れたり反ったりした場合、修理してくれる家具店や一枚板専門店もありますが、もともと工務店などに対して一枚板を販売しているような材木店や銘木店は、「一枚板は、必ず変化するもの。」という前提条件のもと小売販売を行なう店舗も沢山あります。一枚板を購入するということは、割れや反りが発生するものという点を必ず理解した上で、購入する事がとても大切になってきます。自然のままの素材である無垢材で出来た一枚板は、「触れたり眺めたりすると自然のパワーを感じる。」という方もいれば、「世界にたった一つしかない完全オリジナルな家具。」という点に魅力を感じる方も多くいます。でも、そんな魅力的な一枚板を実際に購入しようとすると、「どこで購入できるのだろう?」、「どんな種類があるんだろう?」、「含水率って何?」、「一枚板テーブルの塗装の種類と違いって何?」、「割れや反りが発生しない一枚板って無いの?」、「価格が安い無垢材から自ら塗装まで仕上げられないの?」といった沢山の疑問が出てきます。一枚板を購入する側の立場で、いろいろと疑問に思った事などを自らの体験談をもとに、一枚板購入前の基礎知識としてまとめてみました。