昔からある板の加工方法として、紅茶染仕上り、鯨油仕上りについてご紹介いたします。
目次
昔からある板の加工方法(紅茶染仕上り、鯨油仕上り)について
紅茶染仕上り
写真①②の桐材は、削り上げると白さが目立ちます。部屋に少し渋さを付けたり、全体のトーンを計るのに紅茶を使った紅茶染め仕上げです。戦後間もなく物資が無い時代、綿や絹の下着類なども紅茶で生成色(きなりいろ)に染めたそうです。
紅茶汚し、桐尽くしの茶室例です。
鯨油仕上り
写真③は、欅(ケヤキ)尽くしの入口部分です。廊下も巾広の欅(ケヤキ)柾材を使っています。
鯨油(げいゆ)を1日漬け込んで、余分な鯨油(げいゆ)を取り除き、乾拭きした作品です。油ですが、スリッパを履いて歩いても滑らなく不思議です。
洒落材の使用
写真④⑤は、古舟の舟材を張り上げた茶室の例です。
板そのものには加工を加えていません。川下り中流域の川の玉砂利に洗い出された面に、野趣を感じます。脇の落天井は、水車のくもの巣と言われる部材です。長年水で洗われた表情が、良い雰囲気を醸し出しています。
写真⑥はビル内の茶室の天井です。掛け込み天井に使用している材は、庭に生育している砥草(とくさ)を編んだ天井材です。砥草(とくさ)やマコモ・ヨシ類は、防虫の為、硫黄(いおう)炊きされ、本来の色彩が消え、枯野色になった物が多いです。施工後、何年も経っているのに、緑色の砥草(とくさ)の質感がそのまま残っています。これは仕上げ方に特殊な方法があります。
よくある質問と回答
質問:その他、板材等どんな仕上り方がありますか?
回答:私の知っている限り、鉄漿(おはぐろ)・藍(あい)・くるみ油・柿渋(かきしぶ)を使った板の仕上げ方があります。まだまだ地方地域により、特殊な仕上り方があると思います。現在ウレタン系やオイル一点主義では無く、材の持つ特性を活かし、研究される事を望んでやみません。
板の加工方法に関するシリーズは、本編にて終わりますが、色々な仕上り方の中で、何かわからない事があれば、お問合せフォームよりご連絡ください。木喰虫さんが質疑応答にお応えさせていただきます。
板の仕上げの方法について
板の仕上げの方法について、浮造り(うづくり)仕上げ、洗い出し加工、胡粉(ごふん)汚し加工、泥(どろ)汚し・荒久田(あらくだ)汚し加工、名栗(なぐり)・杣名栗(そまなぐり)・突鑿名栗(つきのみなぐり)加工、昔からある板の加工方法(紅茶染仕上り、鯨油仕上り、洒落材の使用)についてご紹介いたします。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。