泥(どろ)汚し・荒久田(あらくだ)汚し加工は、赤土(あかつち)や田んぼの土(荒久田)を使っての加工方法です。主に板材の面に施す方法です。材としては有孔・道管(どうかん)が太い材に向いています。例として栗材(板柾)・梻(タモ)・楢(なら)等が適しています。代表材は、栗材で水中乾燥が一番良いのですが、普通の製材で取材された乾燥材でも板材に水分が落ちたり、水気を吸うと、黒色のシミが発生したり見てくれが悪いです。雨に打たせた材が最適です。手斧(ちょうな)や名栗加工を施した面に、はつり跡を強調するにもこの加工が一番良いと思います。現代では、荒久田(あらくだ)を探すのは大変です。最寄のホームセンターや、ネット通販などで購入した赤玉土(小粒・粒玉)を使います。
泥(どろ)汚し・荒久田(あらくだ)汚し加工について
施工方法
- ①まず板材の化粧面等を金ブラシで擦り上げます。名栗加工は、加工・ハツリのバリも一緒に取れます。
- ②バケツの中に赤玉土(小粒・粒玉)を入れ、水を差します(水量に注意)。よくかき混ぜ直接、手でも布を使って材面に擦り付けます。この時見返し部分や、側(コバ)面も同時に擦り上げるのがポイントです。
- ③天日にこねた練土をそのまま充分乾燥させます。
- ④充分乾燥後、もう一度ワイヤブラシを使い化粧面を磨きます。この時点で、ハツリ面や化粧面の目に練土が入っている事を確認して下さい。
- ⑤縄をまるめた物や、厚手の布などで最終仕上げ加工をします。
- ⑥冬目、ハツリ面に艶が出て、カンナ削りと別世界の仕上がりになり完成です。
完成写真
写真①は、壁面柾板の乱巾張り(モダンな感性)です。板張りの中に名栗材をセンス良く入れ込みます。
写真②③は、別荘の玄関入口に中巾の栗材を敷き込み、同材の上り框(カマチ)の名栗材を使っています。
写真③は拡大写真です。板張りの目地板に、天然煤竹の平竹を入れています。小名栗は、鹿の子(かのこ)名栗にしています。
全て赤玉汚し加工の施工例です。
板の仕上げの方法について
板の仕上げの方法について、浮造り(うづくり)仕上げ、洗い出し加工、胡粉(ごふん)汚し加工、泥(どろ)汚し・荒久田(あらくだ)汚し加工、名栗(なぐり)・杣名栗(そまなぐり)・突鑿名栗(つきのみなぐり)加工、昔からある板の加工方法(紅茶染仕上り、鯨油仕上り、洒落材の使用)についてご紹介いたします。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。