初荷(はつに)は、商売の仕事始めに、荷物を出荷させる事を意味し、各問屋が年の始めに、出荷商品なので美しく飾り付けし、売り手に送り出す事を言います。この風習は、江戸時代から始まり、今日では1部の業界しか残念ながら残っていません。少し前まで材木業界も昭和60年頃まで残っていた記憶があります。車に登り旗を立てて配送します。古い時代は、荷馬に飾り付けして出荷していたと聞きます。現在魚彼岸でも、マグロの初セリの出荷時、祝の紙札を貼ります。私が子供の頃は、初荷が降ろすと同時に”まあ一杯”と暮に頂いた菰樽(こもだる)の酒を引き掛け、次々と得意先を廻り、店に帰った頃には酔い潰れた社員が何人もいたり、挙句の果て、車事故まで起す人まで現れたりで、いい時代だったのかも知れません。
木場の初荷
写真①は、昭和50年代の正月初墨・初挽きの様子です。木挽きさんは、何手かに別れ、正月始めて挽く丸太や、大きな盤に初墨・初挽をします(これは、暮の内に墨み掛けをし、材をある程度挽いた材を飾り付けします。)。
銘木店を何軒か廻ると、御洒を頂き、折詰め、御祝儀をたくさん持って家に帰ったら、”バタン”という状態だったそうです。良材を持って待ち構えているお店は、1~2日掛けて、じっくり挽かせるお店もありました。その場合は、祝儀として3倍の手間賃だったそうです。
写真②③④は、私の元工場へ初荷の丸太が大阪やら、名古屋から何台も原木を積んで入荷していた時の写真です。大阪銘木協同組合専属の山本トラックさんの名もあります。私の父親が運賃と共にお年玉を出していました。昭和50年代の写真です。初荷の登り旗が見えます。
木場の初荷のご紹介は以上です。続いて木場の歴史をご紹介いたします。
木喰虫さんの酔話
木喰虫さんの酔話について、木場の正月飾り、木場の初荷、木場の歴史、俎板(まないた)について、木のお風呂について、材木店・銘木店の符牒(ふちょう)についてとご紹介いたします。木喰虫さんの酩酊酔話(めいていすいわ)終章については、木のいろはにほへと(わかりやすい木のお話し)ページの下部にてご紹介しております。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。