お風呂に入ると、本当に心身の疲れが取れリフレッシュできます。特に冬場、熱いお湯に浸かると思わず、フーフーと息を吐き、息吹が自然と出てしまいます(このフーは健康に良い事が医学的に証明されましたね)。私は父親が風呂好きだったのと、商売柄も手伝いで各種様々な風呂材に入った経験があります。結果、俎板(まないた)のランキングではありませんが、私なりに風呂材のランキングをまとめてみました。

木のお風呂について

耐久年数から、以下のランキング順位となります。

  • 1位:榧(かや)の柾材:25年以上持ちます。
  • 2位:槙(まき)、高野槙(こうやまき):20年近く持ちます。
  • 3位:桧(ひのき):12年~15年は持ちます。
  • 4位:椹(さわら):8年~10年持ちます。

入浴時の身体への肌ざわりは、榧(かや)に軍配が挙がります。作ったばかりの榧(かや)風呂材は、甘い香りがきついですが、約1ヶ月ぐらいで、序々に香りが落ち着いてきます。

材の条件で言うと、基本は桶(おけ)・樽(たる)との違いの通り、水分を吸収し易いが、温度の変化に強い柾目材を使います。板の厚みは、1寸5分(45ミリメートル)・底板は厚み2.0寸(6センチメートル)が基本です。

これに付け加えなければならない事があります。

手入れを怠らず、水抜き、乾燥など常にメンテナンスをしっかり心掛けなければならない点です。

また、設置も半床下(ゆかした)を深く取らず、排水・掃除の点から比較的浅く取る事です。高さの半分程埋まった風呂材は、取り換え時、取付けた時よりかなり重くなっていて、取り出すのに一苦労します。湯気の抜け口や、換気窓などを大きく取る事が大切です。注意点を守れば、”木”は正直に耐久年数の答えを出してくれます。

木のお風呂の施工事例

写真①は、新宿にあるビルの中に、どうしても”木”のお風呂を希望された御客様がいらっしゃり、置型のお風呂をご提案した物件です。ドアをはじめ、壁面も桧(ひのき)はもちろんの事、コンパクトですが桧風呂です。御婦人から木のお風呂で本当に良かったと感謝されました(脱衣場は竹の腰張りです)。

置型の桧(ひのき)のお風呂

写真①:置型の桧(ひのき)のお風呂

写真②③④は、私が今まで納材した中で最高級のお風呂です。

写真②の風呂内壁面は、すべて高野槙(こうやまき)の柾材張りになっています。

風呂内壁面は、すべて高野槙(こうやまき)の柾材張り

写真②:風呂内壁面は、すべて高野槙(こうやまき)の柾材張り

写真③の天枠は、厚み75ミリメートルの四方柾(桧)、浴槽は厚み60ミリメートルの桧の柾材、組み洗い場のスノコ、風呂蓋に至るまで、全て桧(木曽桧:きそひのき)の柾目材です。20年前、伊豆半島にある屋敷に納材しました。直接湯元から温泉を引いています(泉質は硫黄塩)。時は経って、今でもお使いなさっています。

全て木曽桧(きそひのき)の柾目材で出来た風呂

写真③:全て木曽桧(きそひのき)の柾目材で出来た風呂

写真④の通り、天気が良い日は、遠く初島・伊豆大島が眺望出来ます。

風呂場からの眺望

写真④:風呂場からの眺望

よくある質問と回答

Q:”木”のお風呂の欠点は何ですか?

A:まず”木”の風呂専門の製作所の軒数が少ない事です。たまたま私の所では、江東区福住町に今でもある屋号「穴蔵屋(あなぐらや)」・和田製作所にお願いしました。かつて水上生活者(船生活)の船内部の仕切りや、貯蔵用の樽(たる)板目材・水槽を多く手掛けてきた方で、今まで水漏れは1回も無く、組み仕口仕事は完璧です。東京には根津にも1軒有ると聞きます。依頼する職人さんが少ないのが欠点の1つです。また何と言っても”木の香”を楽しむ風呂は、維持が大変で、その家の主婦がいかにメンテナンスを繰り返すかが鍵を握ります。これは女の人にとって労働がきついのと同じ大変な事です。主婦には感謝しなくてはなりません。

Q:各温泉地のお風呂材の事を教えて下さい。

A:一時古代桧(こだいひのき)(メーカー名:台湾産の紅桧(べいひ)・台桧(たいひ))を主材料に使った風呂(1000年以上の樹齢)と言う桧風呂がありました。丈夫で長持ちを謳い文句に、どこの温泉地に行ってもこのメーカーの風炉が設置してありました。家族風呂から大浴場の風炉まで風呂縁(ふろふち)の金属プレートに名が有りました。日本の温泉は、硫黄泉に始まり、湯泉質は数多くありますので、耐久性には聞き漏れてきませんので、それなりに納っていると思います。ここ最近では、古代桧に飽き足らず、一枚岩をくり抜いた風呂や、陶器・焼物の風呂など、数々のあらての風呂が誕生して話題になっていますね。

昔、東北(青森県)、温泉地の古老の大工さんの言葉を思い出しました。岩風呂にせよ”木”の風呂にせよ、その土地・場所にある材・岩を使うのが一番だと言っていました。重い言葉ですね。

Q:”木”のお風呂の現代的な考えは何ですか?

A:”木”のお風呂をお望みなら「①金銭的な余裕が有る事」、「②お手伝い家政婦さんが居る事」です。この2点は、本格的な風呂造りにまず欠かせません。それでも良いと言うのであれば、まずは”馴れよ!!”です。まずは、比較的安い価格帯の置型タイプの木製風呂をおすすめします。これなら安心してお使い出来ます。1台50万円ぐらいから有り、各メーカーから販売されています。

Q:お風呂材の息を飲む材料って何ですか?

A:TVやマスコミで必ず登場する京都の老舗名旅館。旅館改修として、槙材風呂の取替え時のお話しをさせて頂きます。他の材料は、何とか調達しましたが、見所の浴槽の正面材が足りませんでした。私の知り合いが、納品する前に見る機会があり、見て驚きました。長さ6尺(1メートル82センチ)×巾2尺(60センチメートル)×原1.5寸(45センチメートル)の目の積んだ高野槙(こうやまき)柾目材の一枚板です。傷も無く完璧材です。一般の方はよくわからないと思いますが、日本国中探してもまず見つからない材です。京都は、桶材(おけざい)・浴室材は、すべて高野槙(こうやまき)を最上とする土地柄、有名な手桶弁当有りで、それに名工樽源(たるげん)さんが居ます。私の薄給ではとても泊まれませんが、宿内で出される京懐石に舌鼓、夜ゆっくりとこの浴槽に浸りたいと願うばかりです。

木喰虫さんの酔話

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”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し

木喰虫一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。

50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。

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