ステッキ専門店ラカッポの銘木です。普段見かけることができない様々な銘木の数々を目の当たりにすることができます。また銘木を見るだけでなく、それぞれの材の出所や木について深く突っ込んだお話ができるのがとても魅力です。村山さんのお話を伺っていると、もの凄い探究心の深さを感じます。難しい知識を自らの言葉で発信できる方は、いろいろな事を自ら調べている証でもあると思います。またお話を伺っていると、木について語っている中に数寄屋部材を扱う立場で感じた出来事などが織り交ぜられており、言葉の端々に木に対する想いが見え隠れしています。撮影した写真を整理しながら、本ページをまとめている最中、何度も「この木凄かったなぁ~」っと見返してしまいました。
ステッキ専門店ラカッポの銘木
店内
ラカッポ店内には至るところに銘木が使われています。こちらは神代です。塔ノ沢温泉元湯にある環翠楼には、神代閣と呼ばれる63畳の大広間があります。この大広間の天井には、箱根山中で発見された最上級の神代杉が使われていることで有名です。神代好きであれば、一度は目の当たりにしてみたい場所です。環翠楼の神代閣は、環翠楼の施設案内で写真が紹介されています。
神代は、北海道の雌阿寒岳、秋田県の鳥海山、静岡県の天城山の3箇所が発掘現場として有名です。これらの山は、火山灰が多いため、埋もれ木が出来易く、倒れた状態で埋もれ、近くに川が流れていると黒神代。立ったまま火山灰に埋もれると茶神代ができるという説明を村山さんからしていただきました。
地中に埋もれた植物は、泥炭(でいたん)→褐炭(かったん)→歴青炭(れきせいたん)→無煙炭(むえんたん)へと石灰化が地中で進行していき、褐色から黒色へと変化します。褐炭(かったん)は、亜炭(あたん)とも呼ばれることがあり、宮城県仙台市の名取川では、亜炭細工、別名埋もれ木細工と呼ばれる伝統工芸があります。
最上川の神代、浅間山の桑の茶神代など、ネット上で検索しても出てこないような知識が村山さんとお話しているとどんどん出てきます。
ラカッポ店内には桑がとても多くあります。こちらは桑の看板です。
よく見ると黒柿の小さなチギリが入っているのが確認できるかと思います。チギリも大きさ、使う場所にもセンスが必要なんだっと説明していただきました。
御蔵島産の桑、本紫檀板目巾広板、グランディロココボロ小豆杢、世界に数枚しかないような貴重な材が、ラカッポ店内から出てきます。
花梨の小豆杢。
ここ凄いだろ~っと指を指す村山さん。
次から次へと他では見ることができない銘木が出てきます。
「じゃーそろそろ次は倉庫行こう!」っということで、次はラカッポの倉庫へと移動します。
倉庫
ラカッポの倉庫には、もの凄い数の銘木中の銘木がひしめいています。恐らくインターネット上にラカッポの倉庫がここまで登場するのは初めてなのではないかと思います。当然銘木は数が限られていて、売り切れてしまったらそれまでですが、それは売れてから考えればよいことなのと、売り物では無い(売らない)という事は、村山さんはハッキリされている方なので、倉庫の情報を掲載させていただきます。
こちらは、ブライヤー。ツツジ科エリカ属の常緑低木の根塊。地中海原産の稀少な材料です。シャーロックホームズが加えているパイプのことをブライヤーパイプと呼び、その材料となる樹種です。
杢目を見るとブライヤーパイプの特徴がとてもよく出ています。
こちら、黒柿に見えませんか?孔雀杢 (くじゃくもく)のような杢を持った黒檀です。
黄金に輝く欅(ケヤキ)です。
沼津の御用邸の松です。
みかんの瘤杢です。日本のみかんでは無く、バングラディッシュ産の温州みかんの祖先とされています。
青黒檀です。
黄金に輝く桑です。
柳(ヤナギ)の瘤杢です。
「この栗、5種類の杢目を持っているね」っと村山さん。まさに木魂を感じた栗の瘤です。
日光今市にある大谷川原産の赤芽柳です。大谷川といえば、支流にある華厳滝が有名です。
インドローズの根っこの部分です。
こちらは日光杉です。
これぞローズウッドという印象のもの凄い杢目です。パオロッサ、パオローズ、パーロッサ、パーローズ、アフリカ紫檀などと呼ばれる種類です。ここまでの杢目に出会ったのは初めてです。
こちらも花梨(カリン)の縮杢です。言われなければ何の樹種なのか分からないです。
こちらはシャム柿なのですが、杢目がとても個性的でした。
キプロスウォールナットです。こちらも貴重な材です。
これが本物の縮杢だっと見せていただいた市松模様の縮杢。樹種も伺ったのですが、もの凄い貴重な材なので樹種名はふせておいた方がよいとのことだったので掲載は控えさせていただきます。サクラっぽいですが、サクラではありません。同じ樹種の仲間は780種類にもおよびます。
不思議と木は持つべき人の元へと納まる気がします。これらの銘木は、ラカッポオーナー村山さんの元が心地よいから集まりこの場所に留まっている印象をとても受けました。
木は木そのものが持つ無垢な状態を大切にしながら、魅力を感じ取ってあげればあげるほど、その恩を返してくれると思います。
オーダーステッキ専門店「らかっぽ」を訪問
ステッキ専門店ラカッポは、東京・新木場駅から徒歩15分前後の場所にあります。店舗・倉庫・工房と3つに分かれています。店舗内には、世界中から選りすぐられた銘木から板取りされた材が展示されていて、マニアックなステッキファンが、日本中から訪れているとの事です。また、ステッキの曲げ加工の特許や、意匠登録も取得しているお店です。1枚板をより知る為には、様々な店舗を知る事はとても大切な事です。一度訪ねられる事をおすすめします。