耳白(みみじろ)はあくまで白太が片方、両方あって、白太が深く一見入り込んでいても、耳白太は耳白(みみじろ)です。それに対して源平(げんぺい)は、写真②のように、赤白がハッキリ入り乱れ込んでいなければなりません。杉材の場合、天井板としてよく使われますが、長い4メートル揃杢は、なかなか取材する事が出来ません。一般には短い長さ1~2メートル、巾30~45センチメートルがベストで、挽くに当り一本の同じ木から源平(げんぺい)だけを寄せて坪数(枚数)に合わせ結束します。広葉樹では一枚のみの源平(げんぺい)はありますが、原木で白太が浅いので、杉のようには取材できません。
①②をよく業者の方でも混同して使う方が居ますが、名称もまったく違います。
源平杢目(げんぺいもくめ)
源平杢(げんぺいもく)の語源について
平安時代から鎌倉時代の戦い源氏は白い旗。平家は赤い旗だった為、後世の人がこの旗の赤白を見立て、源平合戦のように赤白が入り乱れる様を源平(げんぺい)と呼び、その杢目を源平杢(げんぺいもく)と言います。
以下の写真を拡大してみてください。この透かし欄間(すかしらんま)の絵柄は、”兜尽くし”とは言わず、これで”源平合戦”と言われています。中央板材は、”兜”を目立たせるため、緩やかな流れる杢目を利用し、杢目の流れは遠い記憶と見立てます。このように日本人は杢目など、自然や動物、植物などから名付けた杢目名が多いと言われます。
源平杢(げんぺいもく)の使用例について
ビル玄関口に用いた源平杢(げんぺいもく)の作例です。深く入り混んだ”霧島杉源平材”です。目地は朱色の漆塗り、決め手は板材と必ず竿椽(源平竿椽)を用い、廻縁(まわりぶち)も白杢材を使う事が御約束で、一段下がった壁平面です。落ち天井は、耳白の天然皮付き板を用いた凝った造りになっていて、見事としか言えません。
源平杢・源平杢目のご紹介は以上です。続いて光背杢・後光杢・火炎杢をご紹介いたします。
杢目(もくめ)の種類
木の杢目(もくめ)には様々な種類があります。図は一本の杉原木からのいろいろな杢目を木取るイメージとなっていますが、このイメージから把握できる通り、同じ樹種でも木取る場所が異なれば、違う杢目(もくめ)が現れます。杉の例となりますが、杢目を木取る区分としては、白太(辺材)(しらた)、純白・白杢(じゅんぱく・しらもく)、源平・耳白杢(げんぺい・みみじろもく)、上杢目(じょうもくめ)、笹杢・中笹杢目(ささもく・なかささもくめ)、中板目(なかいため)、中杢目(なかもくめ)、追い柾・荒柾(あらまさ)、本柾目(ほんまさめ)に分類されます。杢目(もくめ)の種類をご確認いただく前に、木目(もくめ・きめ)と杢目(もくめ)の違いについて、杢目(もくめ)と斑杢(ふもく)の違いについて、杢目はどうして生まれるのか?も合わせてご確認ください。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。