釈迦が産まれ落ち(誕生)時、体の廻りに金色の光を放ち、今咲いた蓮(はす)の花の上に立ったという謂れ(いわれ)から、仏像自体金箔で彩られ(いろどられ)、仏像の下には、必ず蓮(はす)の花の花弁が重なり合う台座となっています。光が放射状に輝いて見えるので、後光(ごこう)と言います。
余談ですが、一生の内、自分が気に入り惹かれるままの一枚の板を見つけて下さい。必ず後光が指すような豊かで、幸せ有る徳を持ち続けます。”1枚の板、されど杢目妙味の意味は深し”ですね。
目次
光背杢(こうはいもく)・後光杢(ごこうもく)・火炎杢(かえんもく)・連弁杢(れんべんもく)・放射杢(ほうしゃもく)
後光杢(ごこうもく)・放射杢(ほうしゃもく)
写真②は、花梨板目材に現れた後光杢(ごこうもく)です。
写真③は、クラロ・ウォールナット(くるみ)瘤材(こぶざい)に現れた後光杢(ごこうもく)です。
写真②③のように、放射状の杢の足(あし)を持つ材を放射杢(ほうしゃもく)と呼びます。
連弁杢(れんべんもく)
写真④は、向って左側が桧木(ヒノキ)の材で製作された大日如来の仏像で、向って右側が柘植(ツゲ)の材で製作された座弥陀の仏像です。
仏像下蓮の花弁が折り成す模様、以下の写真に注目して下さい。
写真⑤は、花梨(かりん)材の連弁杢(れんべんもく)です。
写真⑥は、ブラックウォールナット(くるみ)材に現れた連弁杢(れんべんもく)です。
光背杢(こうはいもく)
不動明王(ふどうみょうおう)は、全ての悪を焼き尽くす大日如来の化身、お不動様として親しまれます。もともとは、古代インドの最高神、シバ神が仏教に取り込まれ、密教の世界では、大日如来になったとされています。
激しい”怒(いかり)”の面相を持ち、燃え盛る火炎(かえん)の光背(こうはい)を背負い、炎であらゆる悪や人の煩悩(ぼんのう)を焼き払おうとされている不動明王の姿です。
写真⑦⑧は、皆さん御存知の”不動明王(ふどうみょうおう)”の仏像です(白檀(ビャクダン)の材で製作されています)。 写真⑧は、仏像から取り出した光背部分です。
光背杢(こうはいもく)は、仏像の背後の炎が燃え盛る様子に似た杢目模様をさします。昔は、火炎(かえん)と書かず、火焔(かえん)と書きましたが、同意語です。
火炎杢(かえんもく)
写真⑨は、クラロウォールナット。写真⑩⑪は、花梨瘤材です。これらの板状に現れた杢目模様を火炎杢(かえんもく)と言います。写真⑫は、クラロウォールナットの白太が混ざり合った例です。
写真⑬は、ブビンガ材の根瘤部分、皮肌を生かしたセンス有る仏像飾りです。
降魔印(触地印)の印相をした釈迦如来(しゃかにょらい)の仏像は、白檀(ビャクダン)の材、台座は黒檀(コクタン)の材で製作されています。
現代生活の中に、自然から生み出された杢目模様を上手くあしらう事により、精神が何か向上するように感じます。
光背杢・後光杢・火炎杢のご紹介は以上です。続いて瘤杢・瘤杢目をご紹介いたします。
杢目(もくめ)の種類
木の杢目(もくめ)には様々な種類があります。図は一本の杉原木からのいろいろな杢目を木取るイメージとなっていますが、このイメージから把握できる通り、同じ樹種でも木取る場所が異なれば、違う杢目(もくめ)が現れます。杉の例となりますが、杢目を木取る区分としては、白太(辺材)(しらた)、純白・白杢(じゅんぱく・しらもく)、源平・耳白杢(げんぺい・みみじろもく)、上杢目(じょうもくめ)、笹杢・中笹杢目(ささもく・なかささもくめ)、中板目(なかいため)、中杢目(なかもくめ)、追い柾・荒柾(あらまさ)、本柾目(ほんまさめ)に分類されます。杢目(もくめ)の種類をご確認いただく前に、木目(もくめ・きめ)と杢目(もくめ)の違いについて、杢目(もくめ)と斑杢(ふもく)の違いについて、杢目はどうして生まれるのか?も合わせてご確認ください。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。