金襴(きんらん)は、和紙に金箔を貼って細かく切った平金糸(ひらきんし)を綾地(あやじ)や繻子地(しゅすじ)の布地に金糸で織り込んだ織物の総称です。金地を多く使った能装束(のうしょうぞく)や僧侶の袈裟(けさ)に使われます。
金襴杢(きんらんもく)・金襴杢目(きんらんもくめ)
脂松の根株部分に多く見られます。松は呼び名に黄金松(こがねまつ)と言われる松も有り、金地(きんじ)に金糸を織り込んだ模様を昔から、金襴杢目(きんらんもくめ)と呼んでいます。
写真①は、バイオリンの顎(あご)当ての製品です。写真右側部分が脂松(ヤニマツ)の金襴杢目です。
写真②は、ビル内に使用した脂松(ヤニマツ)の金襴杢目(きんらんもくめ)です。床脇板は素晴らしい杢目です。
写真③は、伊豆七島御蔵島金桑(きんぐわ)で製作されたバイオリンの顎(あご)当てです。正確には、虎杢(とらもく)・虎杢目(とらもくめ)ですが、見方によっては、金地に虎目(とらめ)が平金糸に見立てると、金襴杢目(きんらんもくめ)とも言えます。さすが御蔵島金桑(きんぐわ)です。内地・本土の山桑・地桑とは、まったく違う金色の色彩です。
金(きん)または、金地に見えるのは、今まで見てきた中では、脂松の金襴杢・御蔵島産金桑・中国産金糸楠木(きんしなんぼく:砂金を撒いたように照りがある美しい材)、ビルマ(ミャンマー)の初期にあったゴールデンチーク材この4つの樹木しかありません。
脂(ヤニ)の含有にばらつきが無く、一定に有る材を鼈甲(べっこう)松、または琥珀(こはく)松と呼ばれ、同じ松材の脂(ヤニ)を含んでいる板材でも傷無く平らに美しく、まんべんなく廻っている」材が取れるのは、ごく一部で貴重材です。琥珀も古い時代に生育していた松類の樹皮から吹き出した脂分(ヤニブン)が化石・石化した物で、宝石として扱われます。琥珀(こはく)の中に、たまたま昆虫が入り込んでいて、この虫からDNAを採取して、・・・映画、ジェラシックパークは有名ですね。
写真①は、光をかざすとランプシエードのように黄金色に輝きます。
写真②は、ムラの無い所を厚く引き上げた材です。
海亀のタイマイの甲羅(ベッコウ)を見ているような色彩です。このような材の中に、金糸を織り込んだ糸状の杢目がある物を金襴杢目(きんらんもくめ)と称します。ベッコウ松やコハク松もこの杢目の一部に入ります。
材写真協力:東京都小金井市丈夫堂(じょうぶどう)協力
金襴杢・金襴杢目のご紹介は以上です。続いて孔雀杢・孔雀杢目をご紹介いたします。
杢目(もくめ)の種類
木の杢目(もくめ)には様々な種類があります。図は一本の杉原木からのいろいろな杢目を木取るイメージとなっていますが、このイメージから把握できる通り、同じ樹種でも木取る場所が異なれば、違う杢目(もくめ)が現れます。杉の例となりますが、杢目を木取る区分としては、白太(辺材)(しらた)、純白・白杢(じゅんぱく・しらもく)、源平・耳白杢(げんぺい・みみじろもく)、上杢目(じょうもくめ)、笹杢・中笹杢目(ささもく・なかささもくめ)、中板目(なかいため)、中杢目(なかもくめ)、追い柾・荒柾(あらまさ)、本柾目(ほんまさめ)に分類されます。杢目(もくめ)の種類をご確認いただく前に、木目(もくめ・きめ)と杢目(もくめ)の違いについて、杢目(もくめ)と斑杢(ふもく)の違いについて、杢目はどうして生まれるのか?も合わせてご確認ください。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。