朧杢目(おぼろもくめ)・吟杢目(ぎんもくめ)についてのご紹介です。
目次
朧杢目(おぼろもくめ)・吟杢目(ぎんもくめ)
朧杢目(おぼろもくめ)について
写真①②は、江戸時代に描かれた月を愛でる(めでる)女性の仕種(しぐさ)の浮世絵です。日本人は、万葉の時代から季節と共に移り変わる月(つき)、特に月齢(げつれい)・月の満ち欠け(みちかけ)を楽しみ、歌を詠み心情までも写し取る感性がありました。
写真①は、櫻が月夜に映え、着物の合わせ着から、春の季が分ります。
朧(おぼろ)とは、桜が咲く頃、月が雲に隠れる様を言います。雲間に月が垣間見て、ぼんやり見える状態を指します。
写真③の「A」は、無患子(ムクロジ)材です。写真③の「B」は紅葉・楓材です。材の大面や側(こば)に現れたこのような朧状(おぼろ)の杢目を朧杢目(おぼろもくめ)と呼びます。
写真③「A」の無患子(ムクロジ)は、オーストラリアのオリーブの根瘤材、通称ビーフウッドにも似ています。
似ている訳です。朧(おぼろ)は、別に料理の世界では、ヒラメやタイなどの白身魚など、炒り煮(いりに)し、ほぐした食べ物を言います。”そぼろ”とも言います。食材同士の名前は偶然と思われます。
吟杢目(ぎんもくめ)について
写真③「A」「B」の杢目の出方には、差異はありますが、紅葉・楓・桑・欅にも出る、うっすらとしたこの朧杢目(おぼろもくめ)は、通人好みの杢目で、別名、吟杢目(ぎんもくめ)とも言われます。
吟(ぎん)とは、歌・詩歌を詠む(よむ)事を意味しますが、口の象形が組み合わせになっているのは、含んで深く味わう事も意味し、この杢目の奥深さが正にあります。
よくある質問と回答
質問:吟(ぎん)と木味(きあじ)は同じ表現ですか?
回答:樹木・丸太・板材を評する(ひょうする)時、”木味が良いね!最高だね!!”とは、人間では、その人なりの性格がやさしく、人格・人柄の良さの表現となり、吟(ぎん)は、霧島杉の夏目・冬目以外、春・夏目の部分を言う時や、人柄・人格以上の良い個性、雰囲気が醸し(かもし)出されている事を指して、吟(ぎん)が有るとも表現します。日本語では、ふくよかさ・人徳にあてはまります。
写真④は、夏季、湯上りで縁台に腰掛け月を眺めている様子です。
この朧杢目(おぼろもくめ)を投稿したこの季は、正に残暑厳しい季節です。木を扱うプロアマ問わず、杢目の美しさを表現し、最大限引っ張り出した現代の杢目名をビール片手に見つけて下さい。
朧杢目・吟杢目のご紹介は以上です。続いて蟹杢・蟹杢目をご紹介いたします。
杢目(もくめ)の種類
木の杢目(もくめ)には様々な種類があります。図は一本の杉原木からのいろいろな杢目を木取るイメージとなっていますが、このイメージから把握できる通り、同じ樹種でも木取る場所が異なれば、違う杢目(もくめ)が現れます。杉の例となりますが、杢目を木取る区分としては、白太(辺材)(しらた)、純白・白杢(じゅんぱく・しらもく)、源平・耳白杢(げんぺい・みみじろもく)、上杢目(じょうもくめ)、笹杢・中笹杢目(ささもく・なかささもくめ)、中板目(なかいため)、中杢目(なかもくめ)、追い柾・荒柾(あらまさ)、本柾目(ほんまさめ)に分類されます。杢目(もくめ)の種類をご確認いただく前に、木目(もくめ・きめ)と杢目(もくめ)の違いについて、杢目(もくめ)と斑杢(ふもく)の違いについて、杢目はどうして生まれるのか?も合わせてご確認ください。
”木のいろはにほへと”わかりやすい木のお話し
一枚板比較では、木を愛してやまない方々の為に、もっとわかりやすく”木のいろはにほへと”と題して、木について解説するコーナーを新設しました。
50年近くも木に携わって来た方(木喰虫さん)のお話しです。普段聞けないお話しも飛び出すかもしれません。