一枚板が商品として販売されるまでには、とても長い年月がかかっています。主な工程は、木の伐採、買付、輸入、木取り、製材、乾燥、加工、塗装の工程となり、更にはもっと細かい工程があります。一枚板は、乾燥だけでも2年から10年もの月日がかかっています。また、幅90センチとなると、樹齢数百年となり、このような木が取れる場所も限られており、多くはアフリカや東南アジアなどの限られた地域に限定されており、毎年ワシントン条約での規制が厳しくなってきています。一枚板ができるまでの工程と、それぞれの工程の特徴について、以下のページでまとめています。
一枚板ができるまでの工程
一枚板ができるまでの工程は以下の流れとなります。
伐採
伐採は現地の人によって行われる工程となります。樹齢数百年の大木となると、日本のみならず世界においても、ワシントン条約や政府の規制などにより、伐採できる木や人が限られています。
買付
買付は日本で国産材を仕入れる場合と、海外で外材を仕入れる場合とで異なってきます。
日本
日本で国産材を仕入れる際には材木市場での仕入れが行なわれています。一般のエンドユーザーが直接仕入れを行なう事はできず、市場の組合員でなくては競りに参加する事ができません。市場にある原木を買付したい場合は、市場の組合員となっている材木店・銘木店に依頼をして、買付を行ないます。
海外
海外への買付は、日本から直接アフリカや東南アジアへ行って行なわれる場合と、海外に一枚板製造の拠点である加工会社がある場合は、加工会社で働く人が、アフリカや東南アジアへ行って買付が行なわれています。
輸入
海外での原木の買付を行なった場合、日本への輸入手続きが発生します。近年はワシントン条約の規制が厳しくなってきており、附属書Ⅱ以下の樹種であっても、輸出国の管理規制が厳しく輸入できなくなってきているのと、輸入できたとしても原木では無く製材された後の無垢材であることもあります。また、中国などでは、テーブルとしての既製品の一枚板であったとしても中国政府の許可が得られなくては、日本への無垢材の輸入ができないようなケースもあります。現在日本で販売されている一枚板の中でも外材は、まだワシントン条約の規制が厳しくなかった時代に、原木の状態で日本へ輸入され、数年間の乾燥過程を経て一枚板として加工されたものが市場に出回っているというケースも数多く存在します。
製材
製材とは、原木から切り出された丸太を主に一枚板へと加工するための工程作業です。製材を行なうための機械を製材機と呼びます。製材機を保有する材木店・銘木店の数は、年々減っており、製材機を直接目の当たりにできる機会が減ってきていると同時に、丸太を製材できる職人の数も減ってきています。製材機が誕生する以前は、大鋸(おが)と呼ばれる専用のノコギリが利用されていました。
乾燥
無垢材を購入する際に特に気になるポイントが「乾燥した木材であるか?」という点です。特に一枚板を購入する際に気になるのが、割れ、反り、ねじれです。無垢材は生きた天然木です。乾燥過程において、必ず割れ、反り、ねじれが発生します。割れ、反り、ねじれは無垢材の特性であり、魅力の一つでありますが、無垢材を一枚板テーブルとして利用する場合、極力割れたり、反ったり、ねじれたりしない一枚板を選びたいという購入者側の心理が働きます。また、販売する側も、特にウレタン塗装、セラウッド塗装の一枚板は、割れた際に傷が目立ちやすいという問題がある事から、極力割れ、反り、ねじれが発生しない一枚板を販売したいという心理があります。割れ、反り、ねじれが発生するのは、無垢材の特性であり、特に割れを目立たせたくない場合は、塗装無しの一枚板、オイル塗装の一枚板、液体ガラス塗装の一枚板を購入するという選択肢もあります。この割れ、反り、ねじれという現象は、無垢材の中から水分が抜けていく乾燥過程で発生します。十分に乾燥した無垢材であれば、絶対に割れないのか?というと言い切れるものではありません。無垢材購入時に、極力割れ、反り、ねじれといった問題が発生しないものを選ぶ基準の一つとして無垢材の乾燥についての考え方があります。
無垢材の乾燥には、大きく分けて2種類あります。一つは自然乾燥(天然乾燥)、もう一つは高周波プレスを利用した人工乾燥です。多くの場合、材木店・銘木店では、自然乾燥(天然乾燥)が行なわれており、家具店、一枚板専門店で販売されている一枚板は、自然乾燥(天然乾燥)の後に人工乾燥まで行なわれている事が多いです。割れ、反り、ねじれを回避するためには乾燥させるという工程が大切になります。家具店、一枚板専門店で販売されている一枚板は、より耐久性が高い(変化が発生しにくい)商品が追求されており、人工乾燥が行なわれていますが、人工乾燥行なえば、割れ、反り、ねじれが発生しないと言い切れるものではありません。むしろ無垢材は、割れ、反り、ねじれが必ず発生することは、当たり前であるという認識をしておいた方が正解です。木材店・銘木店で販売されている一枚板は、割れ、反り、ねじれがあるのは、無垢材ならではの特徴と捉え、自然乾燥(天然乾燥)のみで仕上げられています。自然乾燥(天然乾燥)、人工乾燥については、以下のページでそれぞれまとめています。
加工
乾燥を終えた一枚板は、商品として完成させるための加工が行なわれます。切り出し、削りだし、研磨などと呼ばれるような工程が加工の中にはありますが、家具屋、一枚板専門店で販売されているような一枚板ですと、完成度を高めるような細かい職人の工程が入りますし、材木店・銘木店で販売されている一枚板を無塗装で自然な無垢な状態で手に入れたいと思えば、一枚板の表面をプレナーやサンダーで削るのみの工程となります。工程がかさめばかさむほど、一枚板の価格が高額になる作業です。
塗装
無垢材である一枚板テーブルに対しての塗装は、主に塗装無しの完全な無垢な状態、オイル塗装、液体ガラス塗装、ウレタン塗装、セラウッド塗装に分類されます。一枚板に対して塗装を行なう大きな理由は2種類あります。一つ目が、一枚板の割れ、反り、ねじれといった問題を回避するという点です。二つ目が一枚板を汚れから保護し、経年変化を防ぐという点になります。どの塗装が一番優れているか?という事では無く、それぞれの塗装にメリット、デメリットがあり、購入時の要望によって塗装の選択肢が別れてきます。塗装の種類と、それぞれの違いについて以下のページでまとめています。
一枚板購入時の基礎知識
一枚板が通常の家具と大きく違う点は、無垢材で出来ているということです。無垢材で出来ているという事は、割れ、反り、ねじれなどが発生する可能性があり、その変化も楽しめることが、通常の家具と異なる一枚板の特徴でもあります。割れたり反ったりした場合、修理してくれる家具店や一枚板専門店もありますが、もともと工務店などに対して一枚板を販売しているような材木店や銘木店は、「一枚板は、必ず変化するもの。」という前提条件のもと小売販売を行なう店舗も沢山あります。一枚板を購入するということは、割れや反りが発生するものという点を必ず理解した上で、購入する事がとても大切になってきます。自然のままの素材である無垢材で出来た一枚板は、「触れたり眺めたりすると自然のパワーを感じる。」という方もいれば、「世界にたった一つしかない完全オリジナルな家具。」という点に魅力を感じる方も多くいます。でも、そんな魅力的な一枚板を実際に購入しようとすると、「どこで購入できるのだろう?」、「どんな種類があるんだろう?」、「含水率って何?」、「一枚板テーブルの塗装の種類と違いって何?」、「割れや反りが発生しない一枚板って無いの?」、「価格が安い無垢材から自ら塗装まで仕上げられないの?」といった沢山の疑問が出てきます。一枚板を購入する側の立場で、いろいろと疑問に思った事などを自らの体験談をもとに、一枚板購入前の基礎知識としてまとめてみました。