材木店や銘木店で販売されている一枚板は、家具店、一枚板専門店で販売されている一枚板と異なり、製材機で無垢材が一枚板のサイズに切り出され、割れ止めが塗られている状態で販売されているケースがほとんどです。安いからという理由だけで、材木店・銘木店で一枚板を購入しても、購入直後からその一枚板をテーブルとして利用することはできません。購入後に一枚板テーブルとして利用できるように仕上げを行なう必要があります。仕上げとは、割れ止めを削り取った後に、一枚板を水平にし、最後塗装を行なうといった内容となります。材木店、銘木店で一枚板を購入した際、仕上げまでどのような作業工程があるのかについて、実際に梶本銘木店で購入した神代栗の一枚板を例にご紹介いたします。
目次
一枚板を購入する
まずは、一枚板を購入するところからスタートです。自作で一枚板を仕上げる場合、一枚板を購入する場所は、材木店・銘木店となってきます。家具屋、一枚板専門店で販売されている一枚板は、既に塗装まで済んでいる事がほとんどで、既に一枚板テーブルとして仕上げまで完成されています。材木店・銘木店で販売されている一枚板は、無塗装の状態で安く販売されているため、自ら仕上げることができます。無垢材の中でも一枚板が購入できる場所と、実際に訪れた事がある店舗については、以下のページでまとめています。
割れ、反り、ねじれについて
一枚板は、無垢材のため、必ず割れや反りなどの変化が発生する可能性があります。割れや反りのリスクを少しでも低くしたい場合は、割れや反りが発生しづらい一枚板を購入する必要があります。どのような一枚板が割れや反りが発生しないのか?どのような一枚板が割れや反りが発生しやすいのかを把握した上で、神代栗の品定めを行ないながら購入した様子については、以下のページでまとめています。
一枚板を仕上げる
材木店・銘木店で希望の一枚板を購入したら、一枚板テーブルとして利用するための加工を行なう必要があります。一枚板の仕上げの様子について、実際に購入した神代栗の加工の様子もまじえながらご紹介いたします。
電気丸ノコで一枚板の木口をカットする
材木店・銘木店で購入した一枚板は、木口に割れ止めがたっぷりと塗られており、とても汚れています。一枚板テーブルとして利用する前に、まずは木口を電気丸ノコを利用してカットします。一枚板を電動丸ノコでカットする際には、直線定規を電動丸ノコの歯と平行になるように配置し、直線定規に反って電動丸ノコをスライドされることによって、一枚板は曲がることなく水平にカットすることができます。実際に木口をカットしている様子を撮影してみました。
カンナで一枚板の木口に塗られた割れ止めを削る
電気丸ノコで一枚板の木口をカットしたら、次に一枚板に塗られている割れ止めをカンナで削り落としていきます。特に一枚板の元末にあたる木口には、たっぷりと割れ止めが塗られているのでカンナで削ぎ落とす作業が必要です。実際にカンナを利用して、一枚板の木口の割れ止めを削ぎ落としている様子を撮影してみました。
ベルトサンダーで一枚板の木表と木裏を削る
カンナで一枚板の木口に塗られた割れ止めを削ったら、次にベルトサンダーで木表と木裏を削っていきます。材木店や銘木店で販売されている一枚板には、製材機の跡が付いているので、テーブルとして利用する際に、製材機の跡が気になる場合は、ベルトサンダーで削り落としていきます。一枚板が反っている場合は、ベルトサンダーで削りながら、反りもあわせて修正していきます。ベルトサンダーで一枚板の木表と木裏を削る様子を撮影してみました。
マルチサンダーで一枚板の木表と木裏を削る
ベルトサンダーで一枚板の木表と木裏を削ったら、次にマルチサンダーで木表と木裏の表面を仕上げていきます。ベルトサンダーだけだと、細かい一枚板の傷の跡や、製材機の跡まで削る事ができないため、最後仕上げる際にはマルチサンダーで削る必要があります。マルチサンダーで一枚板の木表と木裏を削る様子を撮影してみました。
オービタルサンダーで一枚板の木場を削る
マルチサンダーで一枚板の木表と木裏を削ったら、次にオービタルサンダーで木場を削って仕上げていきます。木場とは、一枚板の辺材箇所となります。オービタルサンダーで一枚板の木場を削る様子を撮影してみました。
一枚板のオイル塗装を自分自身(DIY)で実施する方法
一枚板の塗装は、主にオイル塗装、ウレタン塗装、液体ガラス塗装、セラウッド塗装の4種類に分類されます。塗装無しという選択肢もありますが、無垢材の一枚板を利用する際、汚れを防いだり割れや反りが発生するリスクを軽減させたり、綺麗な杢目を楽しむためにもいずれかの塗装は行なった方がよいとされています。ただし、無垢材本来の姿を楽しみたいという場合は無塗装がおすすめです。塗装を行なうと、杢目が浮かび上がる変わりに色が変わります。神代木など、無塗装では灰色がかった色をしていたのに、塗装を行なったら褐色色に変化してしまったという事はよくあります。耐久性を求める場合は塗装を行ない、無垢材本来の姿を楽しみたいのであれば無塗装がおすすめです。塗装を行なったらどんな状態になるのか心配な場合は、無塗装の一枚板を霧吹きなどを使って水に濡らすと、塗装後の色を事前に確認することができます。無塗装の場合は一枚板の割れ、反り、ねじれが発生する可能性が高まるという点も理解しておく必要があります。素人でもDIYとして一枚板の塗装を自ら仕上げることができるのはオイル塗装になります。自らオイル塗装で仕上げを行なった様子について、以下のページでご紹介いたします。
一枚板購入時の基礎知識
一枚板が通常の家具と大きく違う点は、無垢材で出来ているということです。無垢材で出来ているという事は、割れ、反り、ねじれなどが発生する可能性があり、その変化も楽しめることが、通常の家具と異なる一枚板の特徴でもあります。割れたり反ったりした場合、修理してくれる家具店や一枚板専門店もありますが、もともと工務店などに対して一枚板を販売しているような材木店や銘木店は、「一枚板は、必ず変化するもの。」という前提条件のもと小売販売を行なう店舗も沢山あります。一枚板を購入するということは、割れや反りが発生するものという点を必ず理解した上で、購入する事がとても大切になってきます。自然のままの素材である無垢材で出来た一枚板は、「触れたり眺めたりすると自然のパワーを感じる。」という方もいれば、「世界にたった一つしかない完全オリジナルな家具。」という点に魅力を感じる方も多くいます。でも、そんな魅力的な一枚板を実際に購入しようとすると、「どこで購入できるのだろう?」、「どんな種類があるんだろう?」、「含水率って何?」、「一枚板テーブルの塗装の種類と違いって何?」、「割れや反りが発生しない一枚板って無いの?」、「価格が安い無垢材から自ら塗装まで仕上げられないの?」といった沢山の疑問が出てきます。一枚板を購入する側の立場で、いろいろと疑問に思った事などを自らの体験談をもとに、一枚板購入前の基礎知識としてまとめてみました。