無垢材の一枚板の購入を検討している中で一番気になるのが割れ、反り、ねじれといった現象です。初めて一枚板を購入する人の中には、「”一枚板の割れ”って一体どれぐらい割れるの?」と思う方が多いと思います。私自身も初めて一枚板を購入する際、割れるとはどれぐらい割れるの?っと、とても気になりました。家具店、一枚板専門店に行くと、販売後に、割れ、反り、ねじれが発生した一枚板は、商品価値が下がるとされており、店頭でみかける事はほぼありません。しかし、一枚板を購入する側の立場からすると、実際に一枚板が割れると、どのような状態になるのかを事前に確認しておきたくなります。今まで、実際に割れている一枚板を撮影してきましたので、代表的な例をご紹介させていただきます。
目次
一枚板の割れについて
一枚板が割れるとどうなるの?
家具店、一枚板専門店で確認した割れた一枚板
家具店、一枚板専門店で確認した割れた一枚板です。家具店、一枚板専門店では、ウレタン塗装や、セラウッド塗装が主流のため、一枚板が割れるととても目立ちます。家具店、一枚板専門店で一枚板を購入する際に、割れがどうしても気になる際には、購入前にオイル塗装の対応有無についても確認した方がよいかと思います。ただし、大きな割れとなってしまう場合は、オイル塗装であっても割れは目立ってしまうのと、一枚板の割れとあわせて、塗装の違いも気になるようであれば、一枚板の塗装の種類と違いについてもあわせて確認するのがおすすめです。
モンキーポッドの一枚板
こちらはウレタン塗装がされたモンキーポッドの一枚板です。購入後一年で、真ん中に亀裂が入った写真がこちらになります。この一枚板に大きな変化が発生したのは冬場でした。外気が乾燥し、モンキーポッドの一枚板に含まれていた水分が一気に蒸発した為、真ん中から真っ二つに割れてしまいました。一枚板を購入する際には、一枚板のデメリットを事前に把握しておく必要があります。
ゼブラウッドの一枚板
一枚板に割れを発生させない為には、乾燥という工程がとても大切になります。自然乾燥を行なった後、更に高周波プレスによる人工乾燥によって一枚板を乾燥させたとしても、一枚板は割れる場合があります。以下は高周波プレスによる人工乾燥が行なわれたゼブラウッドの一枚板ですが、割れが発生しているのが確認できます。
銘木店・材木店で確認した割れた一枚板
銘木店・材木店で確認した割れた一枚板です。銘木店・材木店は、無塗装、オイル塗装が主流のため、大きな割れで無い限り、割れた部分が目立ちません。ただし、大きな割れとなってしまう場合は、無塗装、オイル塗装であっても割れは目立ってしまいます。
ウォールナットの一枚板
一枚板で割れやすい箇所は、芯と節がある部分です。芯がある無垢材は、100%割れます。丸太の状態から輪切りで製材された一枚板は、絶対に割れるという認識でいて間違いありません。こちらは、一枚板で人気の種のウォールナットの一枚板です。節の部分で割れている事が確認できます。
欅(ケヤキ)の一枚板
割れ、反り、ねじれが発生しやすい一枚板の樹種と言えば欅(ケヤキ)です。銘木店・材木店に行くと、「欅(ケヤキ)は暴れやすい」という言葉を聞く事があります。以下は実際に割れが発生している欅(ケヤキ)の一枚板です。
上記のウォールナットの一枚板と欅(ケヤキ)の一枚板を確認したのは、梶本銘木店さんなのですが、訪問した際に、割れ、反り、ねじれが発生しにくい一枚板の見分け方について教えていただきましたので、以下のページでご紹介させていただきます。
割れも一枚板のデザインと捉える
無垢材は、必ずと言ってよいほど割れるモノとされています。一枚板を購入した後に割れてしまった場合は補正が必要ですが、購入時に既に割れている一枚板は、割れの広がりを防ぐ為に、ちぎり(やといと呼ばれることもあります)によって補正され、販売されている事があります。
レッドメープルの一枚板
割れも素敵なデザインになっているレッドメープルです。割れた箇所にチギリが施されています。
欅(ケヤキ)の一枚板
割れた箇所も一つのデザインとして捉えられている欅(ケヤキ)の一枚板です。
割れやすい箇所
一枚板で割れやすい箇所は、芯と節がある部分です。芯がある無垢材は、100%割れます。丸太の状態から輪切りで製材された一枚板は、絶対に割れるという認識でいて間違いありません。
原木から切り出し、そのまま長時間乾燥をさせた一枚板であっても、芯が残る状態で原木から丸太に輪切りにした一枚板は、必ずといっていいほど、割れている場合が多いです。
一枚板が割れる原因
一枚板が割れる一番の原因は乾燥不足です。よく材木関係の方々とお話しをしていると、未乾燥の無垢材の事を”ずぶ生”と表現される方がいらっしゃいます。伐採されたばかりの無垢材は、当然水分を多く含んでおり、乾燥過程において大きく変化します。なので、乾燥が不十分な状態で、無垢材を一枚板テーブルとして加工してしまうと、割れるリスクが高まります。一枚板の割れは、一枚板に含まれる含水率が28%の状態である繊維飽和点と、含水率が15%の状態である気乾状態の間で発生しやすいとされています。割れが発生しづらい一枚板の含水率は15%以下とされています。一枚板の含水率の理想値について、以下のページでご紹介しています。
割れない一枚板
割れない一枚板とは、すなわち乾燥しきっていると断言できる無垢材です。材木店・銘木店の中には、完全に乾燥しきった無垢材である事を証明する為に、”乾燥材”の印が押されている事があります。こちらは私が保有している栗(クリ)玉杢縮杢木曽山系の一枚板です。まだ昭和の時代に東海市場で出品されていたため、数十年もの間乾燥させられ、真っ直ぐな水平が出されています。上記で高周波プレスを行なっているにも関わらず割れてしまったゼブラウッドの一枚板の写真を掲載しておりますが、高周波プレスによる人工乾燥が最も優れているとは言い切れず、何十年、何百年とかけてジックリと大切に自然乾燥(天然乾燥)されてきた一枚板が最も割れないのではないかと思います。しかし、乾燥材である事が証明され、幅広で杢目も美しい一枚板との出会いはなかなか無いのが実情です。
割れ、反り、ねじれが発生しにくい一枚板の見分け方
完全に乾燥しきった絶対に割れないと断言できる一枚板を探すのはとても大変です。しかし、割れ、反り、ねじれが発生しにくい一枚板を見分ける方法があります。その方法を梶本銘木店新木場本社「世界の優良銘木展示場」にて教えていただきました。
一枚板の割れ、反り、ねじれについて
一枚板を購入する際に、必ずと言ってよい程、「割れ、反り、ねじれ」という言葉を聞きます。無垢材である一枚板は、乾燥の過程において、必ず変化をします。普段から無垢材に触れている人にとっては、「割れ、反り、ねじれ」という言葉はとても一般的なのですが、初めて一枚板を購入する人にとっては、一枚板が、割れる、反れる、ねじれるという変化がどのようなモノか理解する事ができません。それぞれの違いについて、以下のページでまとめています。
一枚板購入時の基礎知識
一枚板が通常の家具と大きく違う点は、無垢材で出来ているということです。無垢材で出来ているという事は、割れ、反り、ねじれなどが発生する可能性があり、その変化も楽しめることが、通常の家具と異なる一枚板の特徴でもあります。割れたり反ったりした場合、修理してくれる家具店や一枚板専門店もありますが、もともと工務店などに対して一枚板を販売しているような材木店や銘木店は、「一枚板は、必ず変化するもの。」という前提条件のもと小売販売を行なう店舗も沢山あります。一枚板を購入するということは、割れや反りが発生するものという点を必ず理解した上で、購入する事がとても大切になってきます。自然のままの素材である無垢材で出来た一枚板は、「触れたり眺めたりすると自然のパワーを感じる。」という方もいれば、「世界にたった一つしかない完全オリジナルな家具。」という点に魅力を感じる方も多くいます。でも、そんな魅力的な一枚板を実際に購入しようとすると、「どこで購入できるのだろう?」、「どんな種類があるんだろう?」、「含水率って何?」、「一枚板テーブルの塗装の種類と違いって何?」、「割れや反りが発生しない一枚板って無いの?」、「価格が安い無垢材から自ら塗装まで仕上げられないの?」といった沢山の疑問が出てきます。一枚板を購入する側の立場で、いろいろと疑問に思った事などを自らの体験談をもとに、一枚板購入前の基礎知識としてまとめてみました。